仕事には、いいこともあれば、そうでないこともあります。
思いどおりに進んで、うれしい日もある。何をやってもうまくいかず、今日はもう帰りたいと思う日もある。
だって、それが仕事で、それが人生だからです。
それなのに、採用選考の場では、どうしても「いい話」が多くなります。
会社側は、採用したい。求職者側は、採用されたい。
少なくとも選考という場では、それが双方の大きなニーズです。
会社は、自社の魅力を少しでもよく伝えようとする。候補者の方も、自分のいいところをできるだけ見せようとする。
どちらかが嘘をついているわけではありません。誰かが悪いわけでもありません。
ただ、そのニーズを通したメガネで、目の前の相手を見やすい状況なのだと思います。
マッチングアプリで、まだ顔がよく見えない相手の写真を眺めながら、自分のタイプの人をそっと想像してしまうように。
情報が足りないところを、自分にとって都合のいいイメージで埋めてしまうことがあります。
どれだけ気をつけていても、お互いにそういうバイアスはある。
それが、人間だからです。
だからライオンハートの選考では、仕事のやりがいや楽しさ、会社のよく見えそうな部分だけでなく、微妙なことや、大変なことも、できるだけそのままお伝えするようにしています。
気になることを聞かれたら、可能な限りお答えします。
候補者の方の状況によっては、
「その働き方を望んでいるなら、うちは厳しいかもしれません」
「思っているより、大変だと思いますよ」
と、お伝えすることもあります。
入社してもらうことだけが、選考の目的ではないからです。
お互いに期待を膨らませすぎず、できるだけフラットな目で見たうえで、それでも一緒に働きたいと思えるか。
選考は、そのことを確かめる時間だと考えています。

入社後のギャップは、条件だけでは起きないらしい
株式会社学情の「26新入社員調査」によると、入社前後で何らかのギャップを感じた人は84.6%だったそうです。
「大きくあった」と回答した人が50.0%。「ややあった」が34.6%でした。
ギャップを感じた内容は、「仕事内容」が51.9%、「働き方」が38.5%、「職場の雰囲気」が36.5%。
また、内定までの会社や仕事の説明を「あまり十分ではなかった」「全く十分ではなかった」と回答した人は、合わせて55.7%でした。
ただし、この調査の対象は、20代専門転職サイト「Re就活」に登録していた2026年4月入社の新入社員52名です。
入社したばかりの時期に転職サイトへ登録していた人たちへの調査なので、この数字を、そのまま新入社員全体に当てはめることはできません。
それでも、入社後に「思っていたのと違った」と感じるのは、給与や休日といった条件だけではないらしい。
仕事内容や働き方、職場の雰囲気のような、求人票の数字だけでは分かりにくいところにも、ギャップは起きています。
「風通しのいい職場です」
「若いうちから活躍できます」
「裁量を持って働けます」
そう聞けば、なんとなくよさそうには感じます。
でも、その言葉から想像している景色が、会社と候補者の間で同じかどうかは分かりません。
会社が考える「裁量」と、候補者が考える「裁量」は違うかもしれない。
会社が考える「仲がいい」と、候補者が求めている距離感も違うかもしれない。
「若いうちから活躍できる」という言葉も、早くから仕事を任せてもらえるという意味なのか、十分な準備ができる前から自分で判断しなければならないという意味なのかで、受け取り方は変わります。
言葉が間違っているわけではありません。
ただ、その言葉の奥にある日常まで渡すのは、とても難しい。
だからこそ、抽象的ないい言葉だけではなく、実際に起きた出来事を話すことが必要なのだと思っています。
人生も仕事も、うまくいかなかったときこそ見えるもの
仕事がうまくいっているときは、たいていのことがうまく見えます。
チームワークもよく見えるし、自分も会社も好きでいられる。多少の違和感があっても、それほど気になりません。
でも、予定が崩れたとき。
思っていた結果が出なかったとき。
誰かと意見が食い違ったとき。
時間がなくなってきたとき。
そういうときには、その人や会社のいろいろな部分が出ます。
困ったときに、誰に相談するのか。
うまくいかなかった理由を、誰かのせいにするのか。
一度つくったものを手放して、もう一度やり直せるのか。
時間がないときに、何を優先するのか。
誰かが失敗したときに、どんな言葉をかけるのか。
その人がどんな人なのかも、会社がどんな会社なのかも、平穏な日より、少し大変な日に見えやすいものです。
ライオンハートの仕事にも、もちろん、いいことがあります。
お客様から「お願いしてよかった」と言っていただけること。
自分たちが考え、つくったものが世の中に出ること。
長い間考え続けてきたものが、ある瞬間に一本につながること。
チームで一つの仕事をやり切ったときの、言葉にならないうれしさもあります。
一方で、思っている以上に地味な仕事もあります。
お客様の会社や業界を理解するために、何度も話を聞く。
言葉の意味を一つずつ確かめる。
資料の細かな修正を重ねる。
よいと思っていた案を手放し、一から考え直す。
締め切りが近づけば、最後まで踏ん張らなければならない日もあります。
ブランディング会社と聞いて想像する華やかな時間より、地道に調べ、考え、つくり直している時間のほうが、ずっと長いかもしれません。
だから選考でも、うまくいった仕事の話だけではなく、最近しんどかった仕事や、思うようにいかなかった出来事を話してもらうことがあります。
何が起きたのか。
どこで詰まったのか。
そのとき誰と話したのか。
どうやって立て直したのか。
その話の中には、その人のことも、会社の日常も、よく表れます。
機会がありましたら、ぜひ面接で、しんどかったエピソードをガンガン聞いてみてください。
「最近、いちばん大変だった仕事は何ですか」
「仕事がうまくいかないとき、社内はどんな空気になりますか」
「入社した人が、最初につまずきやすいことは何ですか」
「誰かが失敗したとき、どのように対応しますか」
もちろん、その逆も然りです。
「この会社で働いていて、いちばんうれしかったことは何ですか」
「続けていてよかったと思った瞬間はありますか」
「この人たちと働けてよかったと思った出来事はありますか」
いいことも、そうでないことも、両方聞いてみる。
そのほうが、その会社で過ごす日々を、少し立体的に想像できると思います。
ライオンハートが4回面接する理由
ライオンハートの選考では、4回の面接を行っています。
「そんなにあるなら、エントリーするのをやめよう」と感じる方もいると思います。
それはそれで、構いません。
人材紹介会社や、採用活動を支援してくださる企業の方からも、
「面接回数を減らしてください」
「4回はやめたほうがいいです」
と言われることがあります。
選考に時間がかかる。
候補者の方の負担になる。
途中で辞退する人が増える。
どれも、そのとおりです。
それでも、私たちは面接回数を減らせずにいます。
なぜなら、採用の失敗は、どうやっても取り返せないからです。
もちろん、入社した会社を辞めることはできます。会社も、採用した人との関係を見直さなければならないことがあります。
人生は、そのあとも続いていきます。
けれど、その会社を選び、そこで過ごした時間を、最初からやり直すことはできません。
会社側が「採用を間違えた」と思っても、迎えた人の人生や生活は、すでに動き始めています。
反対に、入った会社に対して「こんなはずじゃなかった」と思っても、そこで過ごした時間が返ってくるわけではありません。
一度デートをして、「なんだかいいかもしれない」と思った人と、実際に付き合ってみる。
会う頻度が増え、いろいろな場面を一緒に過ごすようになったとき、最初には見えなかった部分が見えてきます。
こんな人だとは思わなかった。
こんなふうに時間を使う人だとは知らなかった。
大切にしているものが、思っていたものと違った。
そんなことは、恋愛でも、仕事でも起こります。
だからこそ、私たちは何度もお会いしたいのです。
最低限、会社を運営している経営陣とは、全員と会っていただきたいと思っています。
ご縁があったときに、直属の上司や先輩となる人とも、直接会って話してほしい。
私たちが、あなたのことを知りたいだけではありません。
あなたにも、私たちをいろいろな角度から見て、知ってもらいたいのです。
社長には魅力を感じても、現場で働く人とは合わないかもしれない。
最初の面接では緊張して分からなかったことが、二度目、三度目に会ったときに見えてくるかもしれない。
会社の説明だけではピンとこなかったけれど、実際に働く人と会ってみたら、「この人となら働いてみたい」と思うかもしれない。
役員が話していることと、現場の社員が話していることに、少しズレを感じるかもしれない。
そのズレも含めて、判断材料にしてほしいと思っています。
時間をかければ、必ず失敗しないわけではありません。
4回会ったからといって、お互いのすべてが分かるわけでもありません。
それでも、一度会ったときの印象だけで決めるより、見えるものは増えます。
だから、どうしても時間をかけずにはいられません。
仲間を一人お迎えするということは、私たちにとって、そのくらい大切なことなのです。

「まあいいか」では選べない
仕事に限らず、「ちょっと付き合ってみてもいいかな」で始まる関係もあると思います。
服を買いに行って、探していたものとは少し違うけれど、「まあ、こんなものかな」と選ぶこともあります。
食事を決めるときに、「今日はこれでいいや」と決める日もあります。
人間だから、そういう選び方をすることは、全然あります。
でも、ライオンハートの採用は、「まあ、この人でいいか」とは決めません。
完璧な人を探しているという意味ではありません。
何でもできる人や、欠点のない人を探しているわけでもありません。
その人と一緒に働きたいと思えるか。
その人がこれから成長していくことを、本気で信じられるか。
難しい仕事や、うまくいかない日も含めて、同じチームとして向き合いたいと思えるか。
そこを曖昧にしたまま、採用予定人数を埋めるためだけに採ることはしません。
迷ったまま採用しても、入社後に任せる仕事の重さが軽くなるわけではないからです。
会社が採用時に引き受けなかった迷いを、入社した本人に背負わせることになってしまいます。
だから、会社側も「この人でもいいか」とは選びません。
そして、あなたにも、どうか「ここでもいいか」で会社を選ばないでほしいと思っています。
有名だから。
内定が出たから。
条件が悪くないから。
ほかを探すのも大変だから。
そうした理由で決めることが、間違っているとは思いません。
仕事を選ぶ事情は、人によって違います。生活のために、決断を急がなければならないこともあります。
ただ、自分が何を期待しているのか。
何に違和感があるのか。
何を大切にしたいのか。
その感覚を、なかったことにして決めないでほしいのです。
会社も、人も、完全ではありません。
いいところだけを見て決めれば、入ったあとに見つかる小さな違和感が、大きな失望に変わることがあります。
いいイメージばかりで期待を膨らませるほど、現実との間にできる絶望の段差も大きくなります。
反対に、大変なことばかりを聞いて身構えてしまえば、本当は自分に合っているかもしれない場所を遠ざけることもあります。
だから、いいことも、そうでないことも見る。
期待しすぎず、疑いすぎず、できるだけニュートラルに、フラットに、目の前の相手を見る。
それは、会社選びに限らず、仕事そのものや、人と生きていくことにも必要な、眼差しの力のように思います。
病める時も、健やかなる時も。その両方を持ち寄る
入社前に、会社のすべてを知ることはできません。
会社側も、数回の選考だけで、その人のすべてを知ることはできません。
どれほど丁寧に会っても、実際に一緒に働いて、初めて分かることはあります。
だからこそ、分からないところを、都合のいい想像で埋めない。
いいイメージだけで、期待を膨らませない。
少しでも気になることがあれば、聞いてみる。
答えにくそうなことほど、聞いてみていいと思います。
「辞めた人は、どんな理由で辞めましたか」
「この会社に合わないのは、どんな人ですか」
「経営陣と現場で、意見が食い違うことはありますか」
「忙しい時期は、実際にはどのくらい忙しいですか」
「入社した人が、最初につまずきやすいことは何ですか」
私たちも、答えられることには、できる限りお答えします。
そして、あなたもぜひ、あなたのぶっちゃけを大いにかましてください。
できないこと。
苦手なこと。
心配していること。
働くうえで譲れないこと。
前の会社や、これまでの経験でしんどかったこと。
実は、まだ決めきれていないこと。
選考だからといって、何でもできる人に見せなくて大丈夫です。
もちろん、何もかもを無理に話す必要はありません。
けれど、入社したあとに大切になることを、お互いに隠したまま選び合っても、あまり意味がないと思っています。
私たちだけがぶっちゃけるのではなく、あなたにも存分にぶっちゃけてもらいたい。
その話を聞いて、「ここは違う」と思うかもしれません。
私たちも、「今回は違う」と判断するかもしれません。
それも、選考がきちんと機能したということです。
反対に、いいことも、微妙なことも、しんどいことも持ち寄ったうえで、「それでも一緒に働いてみたい」と思えるかもしれません。
仕事には、健やかな日もあれば、病める日もあります。
楽しくて仕方のない日もあれば、もうやめたいと思う日もある。
その両方がある前提で、それでもここで働いてみたいか。
私たちも、その両方を一緒に過ごしたいと思えるか。
ライオンハートの選考では、そんなことを、何度か会いながら確かめています。
ご縁がありましたら、いい話もしんどい話も、ぜひガンガン聞きに来てください。
そして、あなたのぶっちゃけも、楽しみにしています。


