求人票は、何度も読み返したと思います。
仕事の内容も、勤務地も、休みの日数も、そこに書いてあります。会社のサイトを見れば、何をやっている会社なのかも分かります。
それでも、最後まで分かりにくいものがあります。
そこにいる人たちのことです。
どんな人が働いていて、どのくらいの距離で話していて、うまくいかない日はどうなるのか。求人票には書けないし、面接の一時間で全部を見ることもできません。
NEWONEが2026年4月1日〜30日に、47社の新卒入社者1,965名を対象に行った研修後のWebアンケートでは、配属後の不安として最も多かったのは「職場の人間関係がうまくいくか」で65.4%でした。
入社後の新卒社員を対象にした調査ですが、人間関係への不安が、入社を決めれば消えるものではないことがうかがえます。
では、私たちは、これから一緒に働く人に何を伝えられるでしょうか。
「仲がいい会社です」と安心してもらうだけでは、足りないと思っています。距離の近さが仕事の助けになることもあれば、気になることもある。その両方を知ったうえで、選んでほしいのです。
この記事でわかること。
- ライオンハートで働く人同士の、ふだんの距離感
- 身近な相手に相談しにくいときの、別の相談先
- 気の合わない相手とも、一緒に仕事をするための考え方
名古屋・栄にあるブランディングエージェンシー、ライオンハートの日常から書きます。
求人票に書けることと、書けないこと
求人票には、給与や勤務地、休日数は書けます。
でも、人と人との距離感は、数字では書けません。
「風通しのいい会社です」と書くことはできますが、それを読んだ人が思い浮かべる景色と、実際の会社の日常が同じとは限りません。
同じ一行から、毎日にぎやかに話している会社を思い浮かべる人もいれば、静かだけれど言いたいことは言える会社を思い浮かべる人もいます。どちらも「風通しがいい」で説明できてしまいます。だから、その言葉自体には、ほとんど情報がありません。

クリエイティブの会社ですが、普段は静かです
経営陣・社員・パート/アルバイトを合わせて約20名。少人数なので、仕事の全体が見えやすい会社です。
クリエイティブの会社と聞くと、華やかで、いつもにぎやかにアイデアを出し合っている姿を想像するかもしれません。でも、普段のオフィスは、わりと静かです。
私も入社した頃は、その静けさに驚きました。ただ、それまでに働いたデザイン会社を思い返してみると、似たようなものでした。
クリエイティブの仕事も、その多くはデスクワークです。机に座り、PCやサブモニターに向かう。AIを使い、チャットでやり取りし、オンラインで打ち合わせをする。お客様のために考え、つくっている時間は、外から見ると案外静かなのです。
もちろん、一日中、誰も話さないわけではありません。和気あいあいと雑談することもあります。
お昼も、仲間同士で食べる人がいれば、一人でさっと済ませる人もいます。食べると眠くなるからと、あえて昼食を取らない人もいる。それぞれが、それぞれのペースで過ごしています。
オフィスは、執務エリアの視線を遮る仕切りをなくし、パントリーにも人が顔を合わせる場所をつくりました。けれど、顔を合わせやすいことと、いつも一緒に過ごすことは別です。
だから、常に声を掛け合い、全員で気持ちを盛り上げるスポーツチームのような雰囲気を求めている人にとっては、少し物足りないかもしれません。
静かな時間は、お客様のために考え、クリエイティビティを注ぐ時間でもあります。
にぎやかさを増やせばよくなる、というものでもない。
距離は近い。でも、いつもにぎやかではない。そういう日常が、自分に合うかどうか。求人票の「風通しのよい職場」だけでは伝わらないのは、こういうところです。そして、面接の場面でもいつもお伝えしていることの1つでもあります。
仕事を教わる相手とは、別に話せる時間を
入社した人に会社のルールやツール、各部門のことを伝えるのは、社員で分担しています。仕事を教える人は、案件によって変わります。各部門には、育成対象者が次にできるようになることの目安となる「スキルドリル」もあります。ただ、ベンチャー兼中小企業あるあるで、実際の仕事を通して覚えることが多いのも事実です。
教えてもらうのを待つだけでは、仕事は進みません。先輩の動きを見る。分からないことを聞きにいく。自分から取りにいく姿勢も必要になります。
一方で、近くに人がいるからといって、何でもすぐ相談できるとは限りません。
仕事を教えてくれている相手には言いにくいこともあります。相手との関係そのものに悩んでいるときは、その本人には相談できません。
だからライオンハートでは、日常の相談先を一人だけにしないようにしています。
2026年10月からは、全スタッフを対象に、社長が月に1回、30分の1 on 1を行うことになりました。
育成対象のスタッフには「技術バディ」がつき、さらに月に1回、30分の1 on 1を行います。
新人には、人事と話す時間も別に設けていきます。頻度は月に1回程度を予定しています。
できるようになったこと。
まだ戸惑っていること。
仕事の中で、うまく言葉にできずにいること。
そうしたものを話しながら、今の状態を一緒に整理します。
制度があれば、すべての悩みが解決するわけではありません。
それでも、相談する相手が一人しかいないよりは、行き場を複数つくっておいたほうがいい。
日常では拾いきれないことや、普段は言い出しにくいことを置いておく場所として、こうした時間をつくっています。

全員と気が合うわけじゃない
少人数の組織でも、全員と気が合うということはありません。
合わないまま、一緒に仕事をすることもあります。
ライオンハートの行動指針のうち、「尊敬」と「自責」は、そんな場面にも関係しています。
「尊敬」は、全員を人として好きになることではありません。
好き嫌いとは別に、その人が持っている力や、仕事への向き合い方を認めることです。
「あの人の言い方は少し苦手だけれど、仕事の詰めの細かさは自分にはない」
「考え方は違うけれど、お客様への責任感はすごい」
私は、相手への好き嫌いと、仕事で認めるべき力を分けて考えたいと思っています。
「自責」は、何でも自分のせいにすることではありません。
相手が変わるのを待つ前に、自分ができることから動いてみる、という考え方です。
伝え方を変える。相談する相手を変える。必要であれば、本人以外の人にも状況を話す。
相手の言動に問題があるなら、そこまで自分の責任として引き受ける必要はありません。
自責を、我慢の別名にはしないようにしています。
それでも、気の合わない相手と同じチームで働くことが、しんどい日はあります。
しんどくないと書いたら、たぶん嘘になります。
近い会社だから、いつも仲がよく、全員が家族のように分かり合えるわけではありません。
私たちは家族ではなく、仕事をするために集まったチームです。
違う考えを持つ人同士が、同じ目的に向かって、どうすれば一緒に仕事ができるかを考えます。
人を近くに感じる会社が、誰にでも合うわけではない
それぞれのペースで集中し、必要なときには声をかけ、気の合わない相手とも一緒に仕事をする。
あなたは、そんな距離感で働きたいでしょうか。
だから、面接では、答えにくそうなことも聞いてください。
「気の合わない人はいますか」
「その人とは、どうやって仕事をしていますか」
「最近、社内でうまくいかなかったことは何ですか」
「困ったときは、実際に誰に相談していますか」
私たちも、できるだけ実際の出来事をもとにお答えします。
面接は、会社から選ばれるためだけの場ではありません。
同じ時間で、あなたも会社を見て、選んでいます。
人と人との距離感は、文章だけで伝えきれるものではありません。
会って話すところまで来ていただけたら、私たちも、ふだんのままでお会いします。
その場の空気も含めて、自分に合いそうかどうかを見てもらえたらと思います。
面接や面談にお越しいただいた際には、ぜひ、その日、その時、その時間帯のライオンハートを見て、感じ取ってください。お客様先や撮影現場に出かける人や、MTGを実施する人、作業に没頭する人、いろんな人がいます。いろんな、といっても少数なので目が忙しくなることはありませんが。1次面接と2次面接でお越しいただいた時に見える雰囲気、オンライン面接をへて対面の面接にお越しいただいた時の雰囲気は、きっと違います。直感したこともぜひ、会社選びの重要な要素として持っておいていただけたらと思います。
出典
- 株式会社NEWONE 「2026年卒新入社員意識調査レポートリリース」(2026年4月1日〜30日調査/47社の2026年新卒入社者1,965名/新入社員研修後のWebアンケート)





