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Pagkatuto mula sa "Pamamahalang Walang Tindero": Paano Gumawa ng Organisasyon Kung saan Direktang Nakikipag-ugnayan ang mga Eksperto sa mga Customer

「営業マンゼロ経営」に学ぶ、専門家が顧客と直接向き合う組織のつくり方

「営業マンがいない会社です」と紹介されたら、あなたはどう感じるだろうか。売り込まれない安心感を覚える人もいれば、フォローが手薄なのではと不安になる人もいるはずだ。先日、住宅業界でその「営業マンゼロ経営」を掲げる会社の存在を知った。岐阜発の一級建築士事務所グランハウスである。2017年の創業からわずか数年で年間170棟規模まで成長し、創業10年で売上100億円を見据えているという。同社にいるのは設計士と現場監督だけ。実際に家をつくる専門家が、最初から最後まで顧客と直接向き合う体制を貫いている。

この話を知ったとき、僕は住宅業界とは畑違いの、ブランディングという仕事をしている人間として強く頷いてしまった。「営業を挟まない」という選択は、単なる人件費の圧縮策ではない。むしろ、顧客理解の質を最大化するための、極めて合理的な経営判断ではないかと感じたのだ。僕なりに定義するなら、営業を挟まない経営とは「顧客の課題を最も深く理解できる人間と、実際に意思決定を行う人間を一致させる」組織設計のことだと思う。今日は、この事例をきっかけに、僕たちが20年近く実践してきた同じ思想について、具体的なエピソードとともにお話ししたい。

なぜ「営業を挟まない」ことが成果につながるのか

中間を経由して情報が劣化する様子と直接つながる様子を対比した幾何学的なイラスト

多くの企業が営業担当者を置く理由は明快で、専門家の稼働時間を守り、案件を効率よく回すためだ。分業自体は間違いではない。しかし、この分業には見落とされがちな代償がある。顧客の要望は、まず営業担当者が受け止め、それを社内の制作・設計担当者に伝達し、担当者が解釈しなおして初めて形になる。この「伝言ゲーム」の各段階で、微妙なニュアンスがそぎ落ちていく。中小企業のブランディング支援の現場でよく指摘されるのが、まさにこの問題だ。営業担当者・制作担当者・代表者がそれぞれ異なるメッセージで顧客に接してしまい、結果として顧客の中でブランドイメージが定着しないというケースは、決して珍しくない。

営業の世界でも、顧客の要望をそのまま受け取り右から左に流す「御用聞き営業」からの脱却が長年の課題とされてきた。御用聞き営業では、顧客が自分で考えたことを営業担当者が聞き取るだけに留まり、営業自身が課題を捉えて提案する力が育ちにくい。グランハウスの「営業マンゼロ」も、突き詰めれば同じ構造の問題への一つの答えだと僕は捉えている。顧客の要望を右から左に流す役割を置かず、実際に手を動かし、責任を持つ専門家自身が最初のヒアリングから携わる。だからこそ、伝言ゲームによる劣化が起きようがないのだ。

私たちが20年前に気づいた「1案で決まる」提案の秘密

この考え方は、僕たちライオンハートの創業期の原体験ともつながっている。今から20年ほど前、創業して間もない頃、創業者の僕はデザイナーとしても現場に立っていた。当時、多くのデザイナーはA案・B案と複数のデザインを用意し、顧客の好みに合わせて選んでもらうのが常識だった。ところが僕は、1案だけを提案し、それがそのまま採用されることがほとんどだったのです。

「どうして自分は1案で決まるのだろう」。その理由を知りたくて、当時通っていたビジネススクールの卒業論文のテーマにしてみた。分析の結果わかったのは、デザインの技術力そのものよりも、ヒアリングの質が決定的に違っていたということだった。目的と現在地を正確に把握できていれば、課題は自然と浮かび上がり、解決策もおのずと絞り込まれる。逆にそれが曖昧なままだと、提案は「好みのすり合わせ」で終わってしまい、何案あっても本質的な決め手に欠ける。この気づきが、後に社内で「LHメソッド」と呼ばれる共通フレームワークへと育っていった。

グランハウスの若原代表が設計士に営業を担わせるのも、おそらく似た理屈だろう。顧客の暮らし方や譲れない条件を深く理解しているのは、実際に間取りを描く設計士自身にほかならない。理解の解像度が高い人間が最初から顧客と対話するからこそ、無駄な往復や修正が減り、結果として高い成約率にもつながっているのではないかと想像している。

「強い興味関心」から始まる、深いヒアリングの技術

虫眼鏡が隠れた要素を照らし出す様子を表した幾何学的なイラスト

LHメソッドの出発点にあるのは、相手への強い興味関心だと僕たちは考えている。好奇心旺盛な子どもが「なぜ?」「なに?」「だれが?」「どうやって?」と質問を重ねるように、相手を深く知りたいという姿勢からすべてが始まる。ヒアリングの場では、顧客の答えを必ず具体化するようにしている。たとえば「赤にしたい」と言われたら、それがどんな赤なのかを掘り下げる。時にはあえて極端な例をいくつか提示して選んでもらい、「なぜそれを選んだのか」を尋ねる。こうして曖昧なイメージを一つずつすり合わせていくと、顧客自身も言葉にできていなかった課題や、見落としていた価値が浮かび上がってくることがある。

この作業は、正直なところかなり骨が折れる。表面的な要望を右から左に受け止めるだけなら数分で終わる会話に、何十分もかけることもある。しかし、この手間を惜しんだ提案は、たとえ見た目が美しくても、根本的な課題を素通りしたまま終わってしまう。中小企業のブランディングが失敗する典型的なパターンとして、戦略を詰めないまま制作に入ってしまい、「綺麗だけれど機能しない」アウトプットができあがるケースがよく指摘されるが、その多くは、実はこの初期のヒアリングの浅さに起因していると僕は見ている。

目的に立ち返る問いかけが、信頼をつくる

プロジェクトが進む中で、顧客の要望が当初と変わることは珍しくない。そうした場面で僕たちが必ず投げかけるのが、「その変更は、最初に描いた目的に合っていますか」という問いだ。たとえば予算の都合で、目的達成に不可欠だと判断していた要素を削ろうとする相談を受けることがある。そのときも、遠慮なく「一度立ち止まりませんか」と提案を差し戻すようにしている。結果として、「やっぱり変えなくてよかった」と言っていただけることが少なくない。

これは、営業的な発想であれば、なかなかできない振る舞いかもしれない。目先の受注を優先するなら、顧客の要望をそのまま受け入れる方が摩擦は少ない。しかし、最初のヒアリングで目的と現在地を自分自身が深く理解しているからこそ、「それは本当にゴールに近づく選択ですか」と対等に問い返せる。この踏み込みができるかどうかが、単なる御用聞きと、専門家としての伴走との分かれ目だと考えている。

業種を超えて効く原則――「理解の深さ」を組織設計の中心に置く

ここまでの話をあらためて整理すると、グランハウスの「営業マンゼロ経営」から学べる本質は、単に営業職を廃止することではないと僕は考えている。大切なのは、顧客の課題を最も深く理解できる立場にある人間を、意思決定の一番近くに置くという組織設計の発想だ。営業の属人化にはリスクもあると言われるが、それは属人化そのものが悪いのではなく、専門知識を持たない人に、顧客理解という最も重要な工程を属人的に任せてしまうことに問題があるのだと思う。

僕たちがブランディングやマーケティングの支援を行う際も、案件を右から左に流す窓口担当は置いていない。プロジェクトの立ち上げから、実際に戦略を描く人間が顧客と直接対話する体制を大切にしている。採用サイト制作のご依頼で始まったプロジェクトが、深いヒアリングを通じて、依頼の枠を超えて社員評価制度の見直しにまで発展したこともある。これは、担当者が表面的な要望だけでなく、その奥にある構造的な課題まで拾い上げようとした結果だ。営業と実務を分けない、あるいは分けたとしても両者の理解の解像度を揃える。それは、業種を問わず、専門サービスを提供するすべての会社にとって、成果と信頼を左右する経営判断ではないだろうか。

もし今、依頼している、あるいはこれから依頼しようとしている会社とのやり取りに、どこか「伝言ゲーム」のようなもどかしさを感じているなら、一度立ち止まって、目の前の担当者が自社の課題をどれだけ深く理解しているかを問うてみてほしい。その解像度こそが、最終的なアウトプットの質を決めているはずだ。

僕たちも、初回のご相談では営業トークではなく「なぜ、それが必要なのですか」という問いから入ることが多い。意地悪に聞こえるかもしれないが、それこそが顧客理解の第一歩だと考えているからだ。もし自社の課題がまだうまく言葉にできていないと感じているなら、そうした対話の相手として、僕たちのことを一度思い出していただけたら嬉しい。

Atsushi Ichikawa

SINULAT NI