伝える力はあった。伝わる場所がなかった。320年の老舗食品卸が採用LPで変えたこと
日常的にコミュニケーションをとっているため「発信できている」「伝わっている」と錯覚しがちで、外部から見てどれほど魅力的なコンテキストが埋もれている。
毎月の壁打ちコンサルを通じて専務の最新の価値観に触れてきたライオンハートは、オフィシャル企業サイトとの間に広がる情報のギャップに気づきました。2027年に予定するフルリニューアルを待たず、わずか2ヶ月で採用に特化したシングルページLPを立ち上げる——そんな”戦略的引き算”のプロジェクトです。
事例概要
お客様名
株式会社ヤマサン(愛知県豊橋市/商社・食品卸/創業1703年)
プロジェクト内容
採用特化シングルページLP制作、MVV発信支援(WEBサイト/LHメソッド)
用途
学生向け採用イベントに向けた、ヤマサンの価値観・未来・人を伝える採用LP
シチュエーション
毎月の壁打ちコンサルの中で、最新のMVVとオフィシャルサイト(17年前からの情報)とのギャップが採用機会損失に直結していると判明し、2027年予定のフルリニューアルを待たず緊急対応
制作期間
約2ヶ月
ヤマサン採用サイト
事例の流れ
STEP
01 課題
お客様の課題
情熱はあるのに、受け皿がない。
クライアントが目指していた姿・ビジョン
専務が自らイベントやピッチで語る「ヤマサンの最新の価値観や目指す未来」と、後から求職者が検索して目にするオフィシャル情報とのギャップをなくすこと。「話せる場さえ作れば採用できる自信はある」という専務に対し、直接出会えなかった人や興味を持った求職者を逃さない公式な受け皿を作り、価値観やカルチャーに心から共鳴する若手や右腕人材を採用できる状態を目指していました。
プロジェクト開始時点の状況
専務が入社して3年ちょっとが経過し、企業として大切にする価値観(MVV)の言語化や組織の土台づくりが進んでいた時期。しかし社外向けの公式企業サイトの情報はアップデートされておらず、更新された最新のMVVを知る人間は社内に限られた状態でした。
理想と現実のギャップ・放置することで起きていた損失
専務の頭の中にある最新の戦略や強い想い(MVVやスローガン「お客様を勝たせる。」)がオフィシャルなWebサイトに反映されておらず、求職者にとってヤマサンの真の魅力や未来を知る手段が存在しませんでした。どれだけ専務が外部で情熱的に発信しても、検索した受け皿に最新情報がないため、「知っていれば共感して応募したかもしれない層」を無意識のうちに逃し続けるという、目に見えない大きな機会損失が発生していたのです。
なぜこれまで解決できなかったか
中小企業の多くが抱える問題と同様に、社内に客観的な視点からWeb発信や広報のギャップをフィードバックしてくれる存在がいませんでした。社内にいると日常的にコミュニケーションをとっているため「発信できている」「伝わっている」と錯覚しがちで、外部から見てどれほど魅力的なコンテキストが埋もれているかに気づけていなかったのです。担当ディレクターは当時をこう振り返ります。
「専務のアップデートされた価値観を聞いて、それをどこで知ればいいんだろう?と素朴に疑問に感じた。社外から客観的に見ると疑問に思うようなことでも、案外社内にいれば気づかないもの。内容が魅力的で素晴らしいと感じれば感じるほど、ディレクター個人としてそれを外に発信したい、知ってもらいたいという気持ちを強く持った」
02 LHメソッド戦略策定
現在地や課題を整理(現在地や課題を整理し、ビジョンの実現にコミット)
足すのではなく、引く。2027年を待たない「戦略的スモールスタート」
どう分析し、どんな戦略を提案したか
「企業サイトのフルリニューアルは2027年まで待つべき」と提案しました。現在進行中の事業改革(OEM事業やAI活用など)が実を結ぶ2027年の方が、より厚みのある企業サイトが作れるためです。一方で「待ったなし」の採用課題に対しては、企業サイトとは別に、価値観・未来・人に特化したシングルページの採用LPをスモールスタートで制作することを提案。CMSはあえて組まず、条件面などのファクトはengage等の外部求人ツールへ誘導する「引き算」の設計とし、短期間・低コストで9月の学生イベントに間に合わせる戦略を組みました。
なぜその方向にしたか(判断の背景・根拠)
BtoB企業であるヤマサンの既存サイトへのアクセスの多くは、実は取引先ではなく求職者でした。しかし求職者向けのコンテンツはなく、取引先向けと求職者向けでは求める情報やトーンが全く異なるため、ターゲットを分けた採用LPが必須だと判断。条件面だけで選ぶ受け身の層をフィルタリングし、価値観に共鳴する「カルチャーフィット人材」の純度を高めるために、役割分担を徹底しました。
ライオンハートらしい提案のポイント・他社との違い
ただWebサイトを作るのではなく、お客様のロードマップ(事業フェーズ)を深く理解した上で「今、本当に費用対効果が高い打ち手は何か」を提示した点。フルリニューアルという大きな受注をあえて見送り、企業サイトは部分アップデートに留め、採用LPも外部ツールと連携して構築コストを削るなど、クライアントの利益を最優先にした柔軟で本質的な「戦略的引き算」を行いました。
担当者の想い・こだわり
ヤマサン様には明確で魅力的なビジョンとマイルストーンがありました。言語化された素晴らしい価値観や専務の熱量を、何が何でも求職者に正しく届けたいという強い情熱をもって提案に臨みました。毎月の壁打ちコンサルで積み重ねたコンテキストがあったからこそ、提案の最初から一切のブレがない構成案と原稿を提示できました。
03 LHソリューション実装支援
課題を解決(LHソリューションで課題を解決)
法被と蔵、一枚の写真に宿した320年
実際に制作・構築したもの
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- ヤマサンの「価値観・未来・人」を伝えることに特化した、シングルページの採用LP(縦長1ページ)
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- MVVの言語化やそれぞれの相関関係の整理、専務の人物像、ロードマップ、働く環境(歴史ある建物・蔵)、社員紹介(Q&A形式)
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- カジュアル面談申し込みフォーム、noteや外部求人ツールへの導線バナー
制作上のこだわり・工夫したポイント
デザイン判断基準として専務が大切にする「機能美(説明のできない装飾は不要、見かけ倒しにしない)」を徹底し、スマホファーストで誠実なトーンを追求。カラーには暖簾や作業服とも連続性のある藍色・紺色を採用しました。撮影では弊社からの提案で専務が特注した法被を着用し、歴史ある本社建物前や豊川の風景とともに「320年の歴史と地域に根ざした姿勢」を一枚の写真に凝縮。
また、既存サーバーの制約に対しては、提携ITベンダーと連携して新規外部サーバーを用意し、DNS切替でスムーズに公開できる体制を整えました。
写真撮影時の様子
撮影時には、ヤマサン様のお客様である地元の飲食店から美味しい仕出し弁当が用意されるなど、会社全体の温かい雰囲気や「お客様を勝たせる」「良い人が多い」という専務の言葉を象徴するような対応と感謝がありました。担当ディレクターはこう振り返ります。
「法被を着て歴史ある建物の前で撮影したことで、多くの情報を一つの絵(VI)として表現できた。CIを考えるとき見た目(VI)を重視しがちだが、言語化(MI)がなければ意味がないし、行動(BI)が伴っていなければ意味がない。撮影を通して、現場の社員さんからINTEGRITY(誠実さ)を感じられたのは、BIが完全に機能している証拠だった」
04 LHメソッド実行支援
ビジョン達成にコミットし続ける(状況変化に対応)
ビジョン達成にコミットし続ける(状況変化に対応)
採用LPは「捨て石」ではなく「土台」に
毎月の壁打ちコンサルは現在も継続しており、採用LP公開後もOEM事業のオンライン通販戦略やAIを活用した業務改善など、ヤマサン様の次のマイルストーンに向けた総合的な経営・ブランディングの伴走が続いています。担当ディレクターからの「noteで自身の思考を発信してみては」という提案を受け、専務は個人のnoteを開始。「320年続く会社に外から入る経験(後継ぎ)」「地方の中小企業経営者」の視点から継続発信し、求職者や社外からの深い関心を引き出す強力なコンテンツとして、採用LPと双方向で機能し始めています。
学生向けイベントには無事公開が間に合い、専務が学生の前で自信を持ってヤマサンの最新の姿と受け皿を案内できる状態をつくることができました。将来予定されるフルリニューアルに向けて、今回の採用LPは「捨て石」ではなく「土台」として位置づけられ、今後も社員インタビューやコンテンツの拡充を行いながら、段階的にフルサイズの採用サイトへと育てていく予定です。担当ディレクターは次のように語っています。
「専務との毎月のやり取りをしっかり記録し、コンテキストの品質を高めていたからこそ、短期間であっても初めから芯を食った構成や原稿を提案できた。専務がnoteを実際に書き始めてくださり、企業や専務の考えを知る術として非常に有効に機能している」
この事例の支援内容
SERVICE
- オリジナルフレームワーク LHメソッド 現在地と理想のギャップを埋める戦略の設計図「LHメソッド」。企業ブランディングや採用、組織改革において、確実な成果を出すための具体的なプロセスと解決策を解説します。
- 実行エンジン(クリエイティブ・システム開発・AI活用) 描いた戦略を形にするライオンハートの強力な実行力。クリエイターと国内外のエンジニアが連携し、Webシステム、AIアプリ開発、デザインなど、課題解決に最適な実装を行います。
- ブランディング支援(企業・採用・オフィスブランディング) ライオンハートのブランディング支援。名古屋を拠点に、全国・海外の企業が、ターゲットにとって「特別な存在」として選ばれるよう、理念の言語化からWebサイト、映像、空間デザインまで、一貫したブランド体験を形にします。