Title タグラインってなに?

Date 2024.06.10
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最近、タグラインに関するご相談、ご依頼が増えているようです。
ところで、タグラインって一体何なんでしょうか?
経営者の方には馴染み深いのかもしれませんが、私のような一般社員にとってどんなものか、いまいちピンときません。(←ブランディングの会社にいながら正直過ぎ!?)
それは私が総務担当というブランディングの業務から少し離れた部署にいるからかもしれませんが。
ただ、もしかするとお客様に1番近い目線で見られるのは私なのかもしれません。
そこで、今回は、私が「タグライン」について感じた素朴な疑問を会社にぶつけてみたいと思います。

タグラインとはどういうものですか?

Weblioによれば、「tagline(タグライン)」は、商品やサービス、映画やテレビ番組などを簡潔に表現し、印象づけるための一言やフレーズを指す、とあります。 ところが、Googleで検索すると、色んな検索結果が出てきますから、余計にわからなくなりますよね。

弊社では、企業の存在意義のように考えています。 「私たちは◯◯を通して、社会の発展に貢献している企業です」という宣言のようなものですね。 そのため、企業のロゴといっしょに使われることが多いメッセージです。

例えば、ミツカンがロゴと併記している「やがて、いのちに変わるもの。」について、彼らはミッションと定義しています。 大成建設の「For a Lovely World」はグループスローガンで、小林製薬の有名な「あったらいいなをカタチにする」はブランドスローガンとのこと。 そして、こちらも有名な日立製作所の「Inspire the next」は、ビジョン実現への想いを宣言したスローガンとのこと。

このような言語化された存在意義を弊社ではタグラインと呼んでいます。

なお、存在意義はその企業が社会から求められる役割によって変わります。
つまり、企業の成長フェーズや社会の情勢によっても変わってきますから、タグラインは数年という単位で変更することがあります。

理念があれば良くないですか?

タグラインが企業の存在意義を言語化したものだとしたら、理念は「価値観」を言語化したものと考えられます。

付き合ってみたら、価値観が違って上手くいかなかった・・・の「価値観」です。
そのため、理念は、法人の性格とも言えるかもしれませんね。

もちろん、「理念」が明文化されているだけでもいいですが、「タグライン」のように存在意義まで言語化されていると、ブレづらいですね。

「私たちはこんな価値観で事業を営んでいて、その事業を通して社会の発展に貢献したいと考えています」のように自己紹介できますから。

お客様はもちろんですが、そこで働く社員さんにとっては自分が働く会社を理解するために必要な情報ですから、大事ですよね。

人の価値観はその人の人生経験によって形成、醸成されてきます。
ある種の性格ですからそんなに頻繁には変わりませんよね?
同じように企業の理念もそれほど頻繁にかわるものではありません。
「全従業員の物心両面の幸福を追求する」で有名な京セラのフィロソフィー(理念)は、創業者の稲盛和夫さんが作って以来、ずっと使い続けていますね。

キャッチコピー、ブランドプロミスいろいろありますが、違いや使い分ける必要がありますか?

冒頭で有名企業の事例をあげましたが、各社表現は様々ですよね?
ぶっちゃけ、各社で定義してしまえばいいんです。

弊社では、キャッチコピーはタグラインの仲間と考えています。
タグラインは企業の存在意義を表したものですが、キャッチコピーは商品やサービスの存在意義(価値)を表したものと考えます。

例えば、Suicaは「日本を、1枚で。」がキャッチコピーに当たります。 彼らのサービスの特徴を端的に表していますよね。

「ブランドプロミス」は非常に分かりづらいもので、調べると「顧客との約束」と出てきます。
つまり、「顧客は誰か?」によって変わりますから、余計にややこしいわけです。

まず、ブランドとはなにか? ここから躓きますからね。

弊社では、ブランドを「(ある対象にとっての)特別な存在」と定義しています。 そして、ブランディングとは、「特別な存在になるためのすべての活動」を言います。
(弊社ではよりわかりやすくするために「戦略的な印象操作」と表現することもあります)

つまり、ブランドプロミスとは、ある対象にとって特別な存在であり続けるための、両者間での約束と考えられます。
約束が明示されているわけではありませんが、ブランディングによって、ある対象があなたに何かを期待したら、それが約束となっていくのです。
例えば、「品質が良さそうだな」と相手が思ったら/思わせたら、そこには「品質が良い」という約束が存在するということです。
そして、その約束が反故にされたとき、期待に答えられなかったとき、ブランドプロミスが破綻することになります。

逆に考えると、ブランドプロミスとは「顧客からどんな風に思われたいか?」を言語化したものと言えます。 そのため、ブランドプロミスを明文化することで、どこを目指すべきか分かりやすくなりそうですね。

キャッチコピーが「商品・サービスの存在意義(価値)」としましたから、ずいぶん違うことがわかっていただけたと思います。

タグラインなどを決めたら会社が変わる•••本当に変わるんですか?

何も変わりません。

「私たちのバンドは、音楽で世界平和に貢献する!」と宣言しても変わらないのと同じです。

少なくともバンドのメンバーにはその旨を伝えて、共感してもらわないといけませんね。

そして、「音楽を通しての世界平和とはなにか?」をそのバンドなりに明確にして、メンバー全員が行動に移せるようにしていかないと何も変わらないでしょう。

会社も同じです。 タグライン(自社の存在意義)を明確にしたからといって、何が変わるわけでもありません。

どんな会社にも何らかの課題があると思いますが、それを解決するためには何から始めるのがいいのでしょうか?

課題というのは、現在地と理想状態のギャップのことを言います。

「シンガポールで悠々自適に暮らしたい」という理想状態があったとして、現在地とのギャップがあるはずですよね。
このギャップは人によって様々なはずです。
例えば、すでに一定の資産はあるけど、健康状態が思わしくなくて海外で生活するのが不安、という人もいるでしょう。
一方、健康だけど、シンガポールで暮らす生活費をどうするのか?今の仕事をどうしようか?という人もいるでしょうし、家族はどうするのか?という人もいるでしょう。

これと同じように、会社それぞれに理想状態(ビジョン)も違えば、現在地も違いますから、課題も様々ですね。
そのため、「何から始めるべきか?」について一概に言えませんが、ビジョンと現在地のギャップから課題を抽出していくことじゃないでしょうか。

ブランディングというワードをよく聞くようになりました。
アウターブランディング、インナーブランディングどちらからはじめるのがいいですか?
どちらかだけでもOKですか?

前述で課題について触れましたが、アウターブランディングか、インナーブランディングのどちらから始めるのがいいか?は課題によります。

アウターブランディングとは、社外のステークホルダー(一般的にはお客様など)にとって企業が特別な存在になるための活動です。
イメージし易いもので言えば、商品のパッケージデザインやCMもアウターブランディングと言えます。

一方、インナーブランディングはその名の通り、社内のステークホルダー(社員さんやそのご家族、求職者など)にとって、企業が特別な存在になるための活動です。
つまり、社内のイベント、懇親会や社員旅行なども実はインナーブランディングと考えることができます。
そんな風に意識してイベントを企画・運営している企業は少ないと思いますが。

解決したい課題が社外なのか、社内に由来するものなのか?によって変わるということですね。

会社が決めたことに一般社員がついてきてくれないと感じます(泣)

会社が決めたことが具体的に何を指すのかわかりませんが・・・
例えば、労務規定や人事考課といった社員さんに直接的に関わってくる類であれば、社員さんは自分の都合の良いルール以外は認めたくないものです。
ですから、「思っていたのと違う」という反応は織り込み済みで考える必要があるでしょうね。
最初から100%共感してもらうというのは難しいですよね。
隣の芝生は青く見えますから、「他所はこうだ」となりますしね。
社内ルールについては、企業と社員さん両者間のお互いの妥協と理解努力があってバランスをとっていると言えます。

では、決めたことが理念のように会社の根幹に関わるものだとしたら?
当然、その理解にも時間はかかります。
会社側は社員さんに理解してもらう努力を続けないといけませんし、社員さん側にもまた理解努力をして貰う必要があります。
他人を理解するのと同じですね。 当然、価値観が合わない人がいるように、会社と社員さんも互いに価値観が合わないことは起こり得ますから、採用時点から確認が必要ですね。
弊社では書類選考の後、四次面接までありますが、それはお互いの価値観を確認するための時間とも言えます。

これらを導入して大きな変化を遂げた事例を教えてください。

経営者の方は、「あぁ、自分たちの存在意義ってそういうことだ!」と再発見というか、改めて実感することはあります。
中小企業の場合、経営者の影響力は大きいですから、経営者が元気だと会社も元気です。
そういう意味では、経営者が「コレだ!」と思えたことに大きな意味はあると思います。
実際、弊社でタグラインをお手伝いさせていただいたお客様でグングン伸びている企業もあります。 が、そのほとんどはお客様の努力の結果ですから、どれほど影響があったかは測れません。
経営者の方からは、「ブレづらくなった」とおっしゃっていただくことは多いですね。

また、あるお客様ではTVCMが決まっていて、端的に自分たちを表現する言葉を探していました。
そこで、お手伝いさせていただき、実際にTVCMで使われたりもしたので、一応、お役に立てたのかな、と感じます。

タグラインを決める際に自社でやることはどんなことですか?

冒頭で、タグラインとは、自社の存在意義と表現しました。
存在意義の手がかりを探すために、「もし、自社がこの世から消えてしまったら?」と考えます。
誰が困るのか?困った誰かは、どんな行動をとるのか?・・・と考えていくことで、自社の存在意義(社会への貢献)が見えてきます。

自分たちでやるのはなかなか難しいですが、面白いので一度試してみてください。

皆さん、実は普段からやっているんですよ。
例えば・・・あなたにお気に入りの缶コーヒーがあったとします。
その缶コーヒーを買うためにコンビニに行きましたが、どういうわけか置いてありませんでした。
こんなとき、どうしますか? こんな風に考えていくと(考え続けていくと)、あなたにとっての缶コーヒーの存在意義(価値)についての手がかりが見つかります。
まぁ、そんな風に考える人はいませんけどね。

私たちは「タグラインが欲しい」と相談されることがあります。
私たちが最初に確認するのは、「なぜですか?」です。
もっと言えば、「これまでタグラインなんてなくても、会社は成長してこれたのに、今更必要ですか?なぜ?弊社に依頼すればお金も時間かかりますし、そこまでして要らないんじゃないですか?」と。
各社課題があり、その改善方法の一つとして「タグライン」を選ぶわけですが、タグラインが最適な改善方法とは限りません。
弊社にご相談いただいた場合、課題を抽出し、その改善方法に「タグライン」が最適なのかどうか?について、客観的に見ることがから始めるので、上記のような極端な質問をさせていただきます。

実際のところ、自社を客観的に見ることは難しいですから・・・ まずは弊社にご相談ください(笑)

な・る・ほ・ど・・・
「なんとなく知っている風」だったのがかなり鮮明になりました。
タグラインなど、企業を表現する言葉は広告やCMでも見聞きする機会がありますから、それだけ企業に重要なものであることを改めて感じました。
その企業の社長の顔は知らないけど、タグラインは聞いたことがあって、何らかの印象を持っているということはありますからね。
こうした重要なことを担うブランディング会社の従業員として、また自社の広報担当者としても理解が深められた機会となりました。