ライオンハートのフィリピンオフィス「LH&Creatives Inc.」でマネージャーをしている鵜飼です。
これまでの2回は、海外のメンバーとどう働いているか、なぜフィリピンなのか、という話を書いてきました。今回は人について、日本とフィリピンで離れて働いてきて、どういう人と仕事がしやすいと感じるようになったか、という内容です。
離れていると、途中が見えない
日本とフィリピンで分かれて仕事をしていると、相手が今どこまで進んでいるのかが分かりません。同じ部屋にいないので当たり前ではあるのですが、実際に困るのはその先です。
こちらに届くのは、たいてい完成したものです。作業が終わって、形になって、確認してくださいと渡される。そこで初めて中身を見ることになります。
方向がずれていたと分かるのも、思っていたより進んでいなかったと分かるのも、そのタイミングです。
「今どんな感じ?」がない
日本のオフィスで働いていた頃を思い返すと、途中の状態は自然と共有されていました。
作業をしていると、隣の席の同僚が「今どんな感じ?」と声をかけてきます。画面を見せると、「いいじゃん」と言われたり、「ここはこうした方がいいかも」と返ってきたりする。特に相談したつもりもないのに、いつの間にかフィードバックをもらっている状態になっていました。
これは、私が途中経過を共有していたわけではありません。相手が覗きに来てくれていただけです。近くに座っていたから成り立っていたのであって、私の側は何もしていませんでした。
離れて働くようになって、これがなくなりました。画面を覗きに来る人はいないので、自分から見せなければ途中の状態は相手に伝わらなくなったのです。
完成させてから見せるほうが、楽ではある
では自分から出せばいいだけの話なのですが、これがなかなかできません。中途半端なものを見せたくないからです。
まだ途中の段階で指摘が入るのは、あまり気持ちのいいものではありません。そこはこれから直すつもりだった、と言いたくなります。本当はもっとできるはずだ、と思っているぶん、できあがっていない状態を人の目に入れたくない。
もらったアドバイスを、作業が増えたと受け取ってしまうこともあります。方向を良くするための話なのに、直す手間の話として聞いてしまう。そうなると、意見をもらうこと自体が面倒に思えてきます。
完成させてから出せば、こうしたことは起きません。自分にとっては楽ではあるのです。
「こうだろう」は、だいたい外れている
ただ、完成させてから出すというのは、自分の判断が正しいという前提に立った振る舞いです。
経験上、「たぶんこういうことだろう」と思い込んで進めたものほど、後で違っていたと分かります。自分の中では答えが出ているつもりなので、わざわざ確認しようとも思わない。
一方で、途中で見せると、思っていた以上のものが返ってきます。指摘されるのは間違いだけではありません。こういうやり方もある、こっちのほうが早い、と教えてもらえることのほうが多い。自分一人で完成させていたら、たどり着かなかったところまで行けます。
途中で見せるのは、間違いを防ぐためだけではありません。単純に、そのほうが良いものができるのです。
直すのは、自分だけの手間ではない
完成してから方向を変えると、作り直しになります。手を入れる範囲が広く、時間もかかる。
ただ、その負担は自分だけが引き受けるものではありません。確認する人の時間も、そのぶん増えます。期日が近ければ、動くのは自分の予定だけでは済みません。
ライオンハートには「笑顔創造」という理念があります。お客様、パートナー、共に働く仲間。関わる人の笑顔を自分の行動で創る、という考え方です。
途中を見せないでいるほうが、自分は気が楽です。ただ、そのぶんの手間は他の人に回ります。判断に迷ったとき、私はここを基準にするようにしています。
仕事がしやすいのは、途中を見せられる人
離れて働いていて助かるのは、早い段階で見せてくれる相手です。今どこまで来ているかが分かるので、こちらも次の段取りを組めます。
完成前の、まだ形になっていないものを人に見せられる人。「これで合っていますか」と早い段階で聞ける人。うまくできているかどうかより、そこのほうが大きいと感じています。
こう書いておいてなんですが、私自身、今でも完璧にできているとは言えません。ある程度形になってから見せたい気持ちは、今も普通にあります。ただ、離れて働くようになってから、この行動の重さが変わりました。日本のオフィスにいた頃は、やらなくても誰かが補ってくれていた。今は、やらなければ何も起きません。
そして、これは海外で働く人だけの話ではないと思っています。リモートで仕事をする機会が増え、隣に座っていない相手と進める場面はどこにでもあります。誰も画面を覗きに来てくれない環境で、自分から見せられるかどうか。そこが違いになってくるのだと思います。





