Title 経営幹部合宿をやってみた

Date 2024.04.03
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企業では、理念やビジョンなど価値観の言語化、経営計画の作成、新サービスの設計・開発(開発合宿やハッカソン的なもの)、新入社員研修など様々な目的で合宿が行われています。

今年の1月、弊社でも経営幹部合宿を行ったようです。 「経営幹部合宿をやってみたい」と社長からの発案があり、試してみたとのことで、社長及び経営幹部に、広報からいくつか質問させてもらいましたので、その内容を記事にしてみようと思います。
なお、参加者は、会長、社長、常務、幹部候補の4名。
経営幹部合宿をご検討の方の参考になれば幸いです。

社長への質問:経営幹部合宿をやってみたいと思ったきっかけ、目的は何ですか?

周囲の経営者の何人かが経営計画を作るために、幹部合宿を行っていると知ったのがきっかけ。
経営幹部の信頼関係を再構築することが大切だと思っていました。
そのため、経営幹部の信頼関係を強くすることを目的としました。
自社の未来を共有し、その理解を深めてもらえたらと考えて。

「信頼関係を再構築」とありますが、仲が悪いわけではなさそうですが(苦笑)

経営幹部への質問:社長から合宿及びその目的を聞いたとき、どう感じましたか?

社長が「これがやりたい」とリクエストするのは珍しいと思った。

「経営陣がワンネスしなきゃ」と経営会議で伝えたのがきっかけで、社長から「役員の相互理解・信頼関係再構築」という言葉が出たのだと思った。

何か理由(目的)はあるのだろうけど、聞く限り『熟知性の法則』みたいなものだったので、合宿してまで必要!?合宿が最適な手段なのか!?と疑問も感じた。(お金も時間もかかるし)

目的がぼんやりしている印象。

単純に楽しそうだな、と思った。

「次の一歩をどの方向を向いていくべきか?」という過渡期だったこともあり、未来について話し合う場は良い機会になりそうと感じた。

ずいぶん昔にやったことがあり、そのとき、色々とフランクに話せた記憶があるので、いいかなぁという印象だった。

目の前の機会にどう関わるかは自分で決められるメンバーたちとの合宿なので、ネガティブな気持ちはなかった。

社長からの提案を聞いて、「休日なのに同僚と泊まりかぁ・・・嫌だなぁ」という気持ちにはならなかったようです(笑)
役員は労働基準法に定められている労働時間や残業時間の上限はありませんので、「嫌だ」とは言えないのかもしれませんが・・・

オフィスとは違う環境(ロケーションや施設、設備)でわざわざ行う合宿の効果について、どんなものがあると感じましたか?

日常(現実)を離れる感覚は大切なのかなと感じている。 リラックスできて、ライトなコミュニケーションを生み出しやすくなると思う。

会社周辺で会議室をレンタルしてやったとしても、いつもと同じような感じなので、化学反応も生まれないと思う。

私服(部屋着)になるなど、普段よりもリラックスした様子が見られるのも合宿ならでは!?

環境を変えることによる思考・行動の変化があり、「まだこんな面があったのか」という熟知性を上げる効果があった。

無理やり機会を創らないと同じ時間を長く過ごすことがないメンバーなので、「わざわざ」「合宿」というのには意味があったと感じる。

ただ旅行に行って、ご飯食べて、一泊して、帰ってきてるだけなんだけど、今まで話したことのなかったことをブツブツ話すことができたり、『熟知性の法則』がガンガン働くのを実感した。

会議のように構えなくても、会社や未来のことをガンガン話すメンバー。 くだらないことも多少あったが、その中にも心一つになっていく感覚があった。

オフィスではなく、宿泊施設(バケーションレンタル)だったので、時間を気にせずに話をすることができた。

私たちには、ガチガチに肩肘張った会議じゃなくて、こういうやり方も「らしい」のかなと感じた。この感じは、(最近、会長が話している)「がんばらず、気合を入れずに成果を出す」ということにも似てる。

言葉で説明がつくところと、感覚的なところと、非日常的な体験を経て得るものが大きかった。

普段の環境から離れる、遠くに行くことの効果については、4名全員がポジティブな感想を持ったようです。 もしかすると、社員旅行にも同じような効果があるのかもしれませんね。

合宿を行って、良かったですか/微妙でしたか?

旅行みたいな感じで単純に楽しかった。

経営幹部が話す様子を見て、頼もしく感じた。

一緒に長い時間を過ごすことがほとんどない役員同士が、何気ない時間を一緒に過ごして、語らえたことは、役員がワンネスするには必要なことだと思う。
考えを合わせるだけじゃなくて、感覚を合わせる。呼吸を合わせる。そういう意味合いの一歩だった。

自身が担当する領域について、未来の懸念点を話すことができた。

幹部それぞれから見たマネージャーたちの活躍を知ることができて、安心して委譲していけると思えるようになった。

社長が自身の弱さを打ち明けつつ、役員にメッセージをくれたことが印象的だった。

社長から直接、「こうして」「ああして」と言われる立場ではないけれど、考えを聞けると心を一つにしやすい。

「社長がやりたかったことって、実はこういうことかな?」と感じることができた。(社長の理解が深まった)

食べ物の好みがわかったり、そんな一見どうでもいいことが、熟知性という点では無視できいない要素だと気付くことができた。 その結果、行く前よりも皆のことを好きになって帰ってこれた。

「こういう組織も悪くないな」と感じた。 行く前といった後で変わった感覚といえば、このチームを少しだけ、もっと好きになった。そして、これはとても大事なこと。組織は、人だから。

『熟知性の法則』で、互いの小さな変化や成長が感じられた。

各人の価値観や専門性があるので、それぞれの視点から感じること、考えてることを知ることができる良い機会だった。

オフィス移転があって、オフィスの存在意義を考える機会が多いタイミングで、家でも会社でもない場所で、会社の仲間と過ごしてみるのは(場所や空間の効果を知るのに)有意義だった。

お互いに必要十分に知っていると思っていたけど、実際にはまだまだ知っていることは少なかった、というところでしょうか。 とにかく、互いのことをより理解することができて、良かった、とのことです。 考えてみたら、会社で毎日顔を合わせていても、せいぜい数時間の一部、一側面を知っているだけですからね。

歌の歌詞でも有名な「浄蓮の滝」が見れたそう。

合宿で得られたものや印象に残っていることは何ですか?

『熟知性の法則』によって、各人のことをさらに好きになった。

宿泊施設をピックアップし、各人に意見を聞いたところ、好みが見事に割れて興味深かった。
この過程でも『熟知性の法則』があった。

「ライオンハートらしさ」「こうありたい」ってことがわかった気がする。

プライベートでは選ばないバケーションレンタルを体験できたこと。

施設の選定を担当していたので、数え切れないほどの旅館、ホテル、別荘(バケーションレンタル)を見て、インプットが増えた。
オフィス移転のプロジェクトもあったので、インテリアや立地について興味を持って見ることができた。

自分が名所など有名な場所には、ほとんど興味は無くて、食事や体験に興味があることに気付いた。
そして、あまり計画性がなく、直感で行動することが多いことを再確認できた。

自分が考えている未来と、他経営陣が思う未来に大きなズレがないことが分り、安心するとともに気が引き締まった。

経営幹部の仕事には、抽象的なことを具体的ににしていくというものがあります。
例えば、評価や社内のルールなど明文化し、あえて線引していく必要があったり。 多くの場合、全員が納得する答えが無いと知りながら、本来は無くても言いようなルール/制度を設けたりもします。 仕組み化したり再現性を高めることは企業としては大事なことですから。
ただ、その一方で、「隙間にこぼれ落ちるていくモノの中に、大事なモノがある」ということもわかっている会社だと思います。
そういうことを、再認識できた。

世の中に合わせるのではなく、でも、世の中で当たり前になってることはウチらしく咀嚼して落とし込むのが、私の役目でもあると思いました。
きばらずに、そういうのやりたい。
熱くないけど、やってることは激アツで興味深い。 そういう集団になっていきたい。
取締役としての動機づけの1つとなりました。

得られたものは経営幹部の役割や興味分野によって、それぞれに違うようでしたが、それぞれに気付きがあったようです。

次回、経営幹部合宿を行うとしたら、どんな場所でどんなことをやってみたいですか?

夏にやってみたい。 今回の施設は目の前が海(砂浜)で、テラス席もあったので、夏に来たらどんなだろう?と思った。

別荘(バケーションレンタル)の方がじっくり話せるし、次回もその方向で考えたい。

グランピングとかもいいかも。

今回よりも長く連泊。離島とか山の中とか、全員行ったことないエリアで、時間も気にしないようなところで過ごしてみたい。

何か突出したもの(◯◯が世界的に有名など)がある場所であれば興味がある。

何かアクティビティ的なものがあってもいいかも?

料理をするのも楽しみながら熟知性を高められるのでいいのでは!?と感じた。

視察というスタイルで色々見て回ったり、経験することもやってみたい。(海外含め)

海外でも全然いい。

参加メンバーが、今までに行ったことがない場所で、やったことがない経験や体験を共有したい。

オフィスや住まいから近い場所を選択する意見が無かったのが興味深いですね。
物理的な距離、非日常な環境が与える影響について、実感しているようでした。
また、一泊二日より長くてもいいという声まであって驚きました。

経営幹部の合宿と、マネージャーや一般社員さんの合宿に違いがあるとすれば、何だと思いますか?

一般社員の場合 社員研修やセミナーのようなイメージ。 時間軸は現在。
そのため、当日結果が出るようなものも多い。(研修後の数日間テンションが上がったり、名刺を正しく交換できるようになる、など) 単位は個人(本人、同僚)。

マネージャーの場合 他部署のマネージャーと十分なコミュニケーションをとりながら、部署をまたいで何かを決めていく、協調していくために活用するイメージ。
管理職とは言え、プレイングマネージャーなので普段は多忙。そのため、他部署のマネージャーとコミュニケーションを取って、組織の改善に割く時間も十分にとれない。
内容は、各部署が感じている(部署をまたぐ)課題のときもあれば、経営計画にある自部署の戦略/戦術の策定の場合もある。 なので、単位は組織(部署)。
時間軸は今期、来期という感じ。
合宿の成果がすぐに分かるわけではないけど、「何を決めたのか」などはマネージャー間で共有されるので、組織はそこに向かって少しずつ動き出す。

経営幹部の場合、時間軸は未来、数年後。
単位は組織(会社)、社会。 そのため、合宿の成果は見えづらい。(あのときの合宿で話したことが・・・のように、何かの転機にはなり得る) 何か議題を設けずとも、同じ場所で時間を過ごしているだけで、各自の高い視座から見える景色を共有していくことになり、自ずと組織の未来(理想状態)の話になっていく。
自然と現在及び将来起こりうる課題についても触れることになる。 その結果、経営計画の草案のような内容になっていく。

マネージャーの合宿では、マネージャー同士の繋がりを深めるというのはあると思う。
実はそれはすごく大事。 お互いがお互いの理解者、共感者であるので、「あるある」話だけでも盛り上がると思う。
マネージャーは視座の高い経営陣と、圧倒的に低く依存状態にある部下に挟まれることが多いので、その立場の理解者は必須。

経営幹部はどこまで行っても、視点が未来。
視座が社会、世界、天。
マネージャー合宿は、現在見えている課題を解決するために集まる印象。
一般社員さんだと、仲良くなろうよ!という懇親会的な部分がいちばんの目的なのかな。
ただし、本来、マネージャーに期待したいのは、現状の打ち手以上のところに目を向けること。つまり、視座を上げること。そうすると、一般社員さんの合宿の動機も変わっていくと思う。

これは会議等でも同じですが、視座の違い。
経営幹部は、未来の話をしながら、現在の課題(理想と現実のギャップ)をみていく。
社員さんは、目の前もしくは少し先の課題に目が向いていく。

大きな違いとしては視座の違いによる話す話題の広さ、時間軸の長さ。

4名の経営幹部全員が視座の違いについて触れていました。 合宿を実施する場合、「視座の違い」を意識すると合宿の質が上がるのかもしれません。

社長/幹部の視点から、経営幹部合宿を検討している企業に向けてメッセージがあればお願いします。

「とりあえずやってみる」でも良いと思う。

ある程度視座を揃える必要はある。
社長だけが高く、他メンバーと差が大きい場合、社長の独演会になってしまう。
幹部からしたらいつもと同じだし、全く面白くない。社長も不完全燃焼で不満が残ると思う。
そのため、幹部の成長フェーズ(組織の成長フェーズ)がどこにあるか?は意識したほうが良いかも。

社長と幹部の関係性も大事。
ビジネスパートナーとしては良いけど、人としては好きなタイプじゃない、という関係性での合宿はしんどい気がする。
「やっぱ、この人嫌いだわ」となりかねない。
『熟知性の法則』は、相手のことが嫌いな場合は、より嫌いになってしまうので要注意。

研修に合宿を活用している企業は少なくないと思います。
ただ、弊社のような過ごし方を聞くと、「え、それただの旅行じゃん」と思うかもしれません。 フレームを忘れて、人間同士で付き合ってみると、意外と見えるものがあります。
組織は人と言いますね。ある経営団体では「人間尊重の経営」という言葉があるほど。
だけど、会社の幹部であっても、所詮は会社という箱の中に一定時間一緒に過ごす他人でしかない。 つまり、「会社の人」でしかない。 人間として、それぞれの個を意識して見たことありますか? やってみる価値大いにありだと思います。
もちろん、社風や理念、ビジョンにもよりますけども。

経営幹部同士で知らなかったこと、ちょっとしたことでも発見がありました。
会社の未来を描いて、共有していく時、その舵取りをサポートしてくれる経営幹部の信頼があってこそだと思います。

経営会議に参加させてもらって日が浅いこともあり、まだまだ見通せる先が短い状態でしたが、色々と未来の話を聞くことである程度先の未来のイメージを作ってもらい、見通しが効くようになった気がしました。
そういったメンバーがいる場合にも効果的かもしれません。

視座を揃えるなどの条件があったり、社風や理念などで向き不向きはありそうですが、「やってみる価値はある」とのことでした。

弊社の社長も手応えを感じたのか、毎年試したいと言っていました。

あくまで弊社の事例で、弊社の経営幹部の感想ですが、合宿をお考えの方にとっての参考になれば幸いです。