Title マネージャーの無免許運転、していませんか?

Date 2023.11.09
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企業は様々な課題を抱えているわけですが、人材について悩んだことがない、考えたことがないという経営者はいないのではないでしょうか? 会社組織が拡大するにしたがい、中間管理職(ミドルマネジメント)※を担う存在の重要性を痛感します。
※この記事ではマネージャーと表現します。

ふと、自社の組織を俯瞰して見ていると、部下が抱える不満を経営陣に運ぶ、まるで伝書鳩のようなマネージャーの姿に気付きました。
部下にも嫌われることなく、上司っぽい動きができる一番安易な方法がこれです。
しかし、実質何の改善活動もしていませんから、何も変わりません・・・

社員さんは大なり小なり不安や疑問を持ちながら、働いています。
もっと言えば、人間として生きています。
不安や疑問が積み重なり、閾値を超えたときに不満となって溢れ出ます。
家庭であればパートナーに対する不満、仕事であれば職場に対する不満のように。
マネージャーが部下を面談をすれば、不満を耳にする機会も多いわけですが、それをそのまま上長である経営陣に伝えるわけです。
本来、不安や疑問の段階で何らかの対応を行う必要がありますし、そもそもそれらが生まれないためにどうすべきか?を考えて、改善していくのがマネージャーの仕事なわけですが。
そうした不満を聞かれれば、言いたい放題状態になりますし、足並みを揃えるどころではなくなってきます。

そんな課題を抱えていたとき、フラップスプラン株式会社が開発した『ワンネス経営』というセミナーに出会います。
早速、社長の福永さんとお話する機会をいただき、自社が抱えていた課題について聞いてもらうことにしました。 すると、福永さんはこう言いました。

「それは無免許運転と同じですね」

マネージャーとしての教育も受けていない人に、マネージャーをやらせているから、そういう事が起こるのも当然ですよ、と
例えば、ほとんどの企業は、営業成績が優れた社員さんをマネージャーに据え、その人のような好業績者が育っていく組織になることを期待します。

しかし、そのマネージャーは、自分が営業で成果を出すという点においては優れていますが、そのスキルを他者に伝え教育することができるか?チームを率いる事ができるか?会社の方針を浸透させることができるか?については、何の実績も無いわけです。
私たちが自動車を運転できるのは、自動車学校で運転に必要な知識や技術を学んだからです。
一方、マネージャーに関しては、何の教育も無しに、「はい、明日からあなたがマネージャーね」と辞令を出している状態ということでした。

これを聞いて、ハッ!とする経営者は多いのではないでしょうか?

この話を聞くほんの数十分前までは、マネージャーの体たらくにガッカリしていましたが、実はそうではなかったのです。
単に、マネージャーへの教育が無かったことが原因だったのです。

福永さんからは、『ワンネス経営』の中には、マネージャーが会社組織で機能するために必要なことがひと通り学べるコンテンツがたくさんあると説明を受け、実際に導入してみることにしました。
これが約1年前のことです。

なお、弊社では、現職マネージャーだけでなく、経営陣(役員)も一緒に受講することに決めました。 これには、福永さんのおすすめもありましたが、弊社では「研修に行ってきなさい」と対象となる社員に一方的に受講を促すことはせず、まずは経営陣が先に受けて、それで良かったら導入していくという社風だったという理由があります。

さて、このセミナーを受講し、マネージャーたちはどの様に変わっていったのか?
この機会に共有させていただきたいと思います。

無免許ながらに「マネージャー」というポジションに就いた彼らが感じていたこと

アンケートを取ってみると、以下のような回答がありました。

自分には向いていないのではないか…

仕事が増えるし、不安…

周囲と比較してもまだまだ未熟なのに、マネージャーだなんて務まるのか…

自分が考える方向、判断が会社のそれと合っているのか、不安…

ここから、ほとんどのマネージャーが不安を感じていた事がわかります。 マネージャーという役割について、少なくともこの会社組織では初めてのことですから、考えてみれば当然ですね。 「昇進した」「認められた」と喜んでいるのではないか♪と考えているのは、実は経営者だけなのかもしれません。

経営陣が感じていたマネージャーの課題

マネージャーと一口に言っても、部署は違いますし、年齢、性別、経歴、性格も異なります。
いわゆる視座や自覚の度合いにも違いがあり、もし、「マネージャーレベル」のような数値があったとしたら、低いレベルの中でもそれぞれに差がある、そんな状態でした。
彼らに共通していたのは、意思決定は経営陣に委ね、マネージャーに必要な主体的に思考・行動する場面はほとんどなかったという点。
無免許運転状態ということを知るとさもありなんですが、「マネージャーたるものこうあるべき」という経営陣の理想と、マネージャー側の現実に大きなギャップがありました。

セミナーを受講することになったマネージャーの心境

経営者が社内に外部研修やセミナーを導入していくとき、気になるのは社内の抵抗です。 もちろん、表立って「嫌だ」とは言いませんが、受講する社員さんから大歓迎される類のものではありません。
では、弊社でこのセミナーを導入することが決まったとき、マネージャーたちはどの様に感じたのでしょうか?

忙しいのになぜ、こんなことに時間を使うのか?経営陣だけでやったら良いでしょう!?

新しい知識が増えるのが楽しみ。

自分なんかが参加していいものだろうか…

受け取り方には各人の性格や、そのときの状況(例えば業務負荷など)が影響するようです。
心配性の人は、とにかく心配のメガネで物事を見ますしね。
確実に言えるのは、「貴重な機会をいただけて、感謝しております!」という社員さんは一人もいないということです(苦笑)
さて、弊社では、毎月1回、合計9回の構成で受講しましたが、マネージャーたちのセミナーに関する印象はどのように変わっていったのでしょうか?

セミナー講師陣が優しかった。

「参加者と競争を強いられるような内容ではないか?」と警戒していたが、全然違っていて、やっているうちに楽しくなっていった。

一方的に聴くばかりではなく、参加者同士シェアの機会が多く、意外だった。

雰囲気が明るく、思っていたよりずっと楽しかった。

なるほど、受講する前後で印象が変わっていますね。
ちなみに、この『ワンネス経営』は、大声を出し、泣き叫んだり、瞬間的にテンションを高める類のセミナーとは全く違うセミナーです。
そのせいか、受講した社員さんからネガティブな感想はありません。
経営者としては、それだけで導入ハードルは下がりませんか?

経営陣から見たマネージャーの様子

セミナーで大声を出して、叫ぶ必要がないと分かったマネージャーたちは、警戒心を解いて前向きに受講してくれるようになっていきます。
そんな彼らと一緒に受講し、彼らを間近で見てきた経営陣は、セミナー受講後のマネージャーたちにどのような変化を感じたのでしょうか?

甘えが消えて、マネージャー目線で発言ができるようになってきた。

セミナーを通して自分と向き合う機会が何度もあり、自己開示への恐れが薄れてきた。

言行一致を心がける様子が見られた。

部下への興味、関心が高まり、日報へのコメントや個人面談などに主体的に関わるようになってきた。

これらは小さな変化に見えますが、社内(経営陣)では起こせなかった変化、成長と考えると、大きなインパクトがあります。

経営陣と一緒に受講することについて、マネージャーはどう感じていたのか?

経営陣がセミナー参加者として同じ立場になることについて、マネージャーたちはやりづらさなどを感じていたのでしょうか?

適度に緊張感があって良かった。

経営陣の考えに触れる機会になって良かった。

同じテーマを経営陣がどんな風に受け取るのか興味深かった。

率先垂範の姿勢を感じた。

マネージャーとの視座の違いを感じられた。

セミナーで学んだことで、経営陣と共通言語化できて良かった。

どうやら懸念していたようなやりづらさは無かったようです。

もちろん、参加する経営陣がふんぞり返って、上から目線でアドバイスばかりしていては、意味がありません。
一番素直に、積極的に学ぶつもりで参加することが重要です。

さらに、経営陣とマネージャーの「視座の違い」について、セミナー中に説明がなされたこともあり、マネージャーが経営者との見える景色の違いを認識し、互いにコミュニケーションの不足を埋める必要性を感じることができました。

マネージャーがセミナーで学んだこと

マネージャーはセミナーを通して、各人の課題や自身が持つ特性にも気付くことができました。
そして、自分が変わることで受講生にも良い影響を与えられたことを体感することができたようでした。
『ワンネス経営』には「私が変わると、チームが変わる」という言葉がありますが、まさにそれでした。

さて、マネージャーたちはセミナーを受け、どんなことが印象に残ったのでしょうか?

主体性が足りていなかった。

(ブレないためにも)部分最適ではなく、全体最適の考え方を持たなくてはならない。

部下の不満を取りまとめて、報告するだけの労働組合長ではいけない。

経営陣が示すビジョンを、現場にわかりやすく伝える役割がある。

部下や後輩のためにも、マネージャーとしてあり方(考え方、立ち居振る舞い)を改める必要がある。

オープンマインド(自己開示の勇気と、フィードバックを受け取る素直力)が足りなかった。

マネージャーとして、不足していること気付けたようです。
仮に経営者が同じ内容を伝えたとして、マネージャーが素直に受け取れるか?
実は、不思議なことに、そう上手くはいきません。
外部セミナーの講師だからこそ、受け取れることも多く、これはセミナーの大きな効果と言えます。
なお、福永さんはこの現象のことを「親戚のおじさん効果」と呼んでいました。

マネージャーに実践の機会を提供

セミナー受講直後は、良いけど、しばらくすると元に戻ってしまう・・・あるあるですが、弊社でもこれはなんとしても避けたいことでした。
効果を実感していたからなおさらです。 そこでマネージャーたちには、マネージャーとしての立ち居振る舞いや、部下との関わりが求められる機会を創出することにしました。

それは・・・

一般社員さん向けの『ワンネス経営』セミナーのサポーターとして協力してもらう

というものです。
セミナーを受講し、その内容に確かなものを感じました。
そして、この機会にマネージャーだけでなく、彼らの部下にあたる社員さんたちにもこのセミナーを受講してもらい、一気にワンネス状態(一体感のある組織)にしていこうと決断しました。

青天の霹靂でサポーターの役を担うことになったマネージャーたちですが、サポーターとして関わり、部下が受講する姿を見て、どう感じたのでしょうか?

積極的に関わるメンバーが多く、互いに刺激合っていて、変化と成長を感じる。

応援したい気持ちが高まった。

通常業務ではあまり話すことの少ないメンバーのことを知る貴重な機会になっている。

自分にとっても復習する機会になっている。

他のサポーター(マネージャー)のフィードバックに刺激をもらっている。

皆の「素直力」に驚かされる。

自社が大切にしている価値観(理念やカルチャー)を体現している仲間がいることが分かり、嬉しくなった。

マネージャーたちには、部下に興味と関心を持って接してほしかったわけですが、サポーターという役割を通して、部下の小さな変化を捉え、成長に喜べるようになってきました。

経営陣が感じるマネージャーの現在

マネージャーの育成に課題を持ち、セミナーの導入を決断しましたが、経営陣から見たとき、現在マネージャーたちはどのように映っているのでしょうか?

教育や面談、懇親会での場づくりにも主体的に関わるようになって、「自分たちがリードするんだ」という気持ちを感じる。

「マネジメント」という言葉を使うようになり、少し視座が高まった。

「どうせ自分たちの会社なんて…」「どうせ自分なんて…」という発言が少なくなってきた。(各人の「あり方」が改善されてきた)

部下と関係性を構築する方法についても、マネージャーなりの創意工夫が出てきた。

チームメンバーの成長機会をつくり、成長を支援しようとする姿勢・行動が感じられる。

「マネージャーとして何が必要なのか?」を学んだことで、自ら考え、行動できるようになったようです。 「無免許状態」と比較すると、大きな差がありますね。

経営陣が感じるマネージャーの現在

マネージャーの育成に課題を持ち、セミナーの導入を決断しましたが、経営陣から見たとき、現在マネージャーたちはどのように映っているのでしょうか?

教育や面談、懇親会での場づくりにも主体的に関わるようになって、「自分たちがリードするんだ」という気持ちを感じる。

「マネジメント」という言葉を使うようになり、少し視座が高まった。

「どうせ自分たちの会社なんて…」「どうせ自分なんて…」という発言が少なくなってきた。(各人の「あり方」が改善されてきた)

部下と関係性を構築する方法についても、マネージャーなりの創意工夫が出てきた。

チームメンバーの成長機会をつくり、成長を支援しようとする姿勢・行動が感じられる。

「マネージャーとして何が必要なのか?」を学んだことで、自ら考え、行動できるようになったようです。 「無免許状態」と比較すると、大きな差がありますね。

セミナーで学んだ内容は、どんな場面で役に立っているのか?

セミナーを通してマネージャーたちが学んだことはたくさんありますが、現場でどんな風に使っているのでしょうか?

「対話」と「会話」を意識して使い分けるようになった。

「アドバイス」と「フィードバック」の使い分けている。

相手のことを理解してから、こちらのことを理解されるという前提があることを意識している。

「部分最適」ではなく、「全体最適」の視点を持つようになった。

目標設定の考え方がスキルドリルの整理にとても役立った。

『ワンネス経営』で受けたメンタリングを参考に、月一の面談を行うことで、部下の変化を定点観測できるようになった。

セミナーで毎回行っていた、Good&Newを部署に取り入れた。

「リーダーシップ」「主体性」という言葉が浸透してきたことで、部下を頼りやすくなった。

部下に対して、ブレずに常に半円を描く姿勢をとること。 相手の信頼し、自分を知ってもらうこと(自己開示)の重要性。

セミナーで学んだことを各人が実践している様子が伺えます。
このようにセミナーの効果が持続して、実践できている理由は、前述のサポーターもありますが、マネージャーたちが一緒に受講したというのも大きいと思います。
共通言語を持つことができ、マネージャー同士の会議でもそれが使われることで記憶に定着もしていきますし。

マネージャーが感じる、マネジメントの難しさ

前述のように実践していますが、全てが上手くいっているわけではありません。 マネージャーたちが直面している難しさとは何でしょうか?

部下に失敗と挑戦ができる余剰を作ってあげられていない。

優秀な部下に対して、「私が何をどう教えていくのだろう」という思いがある。

表面的に優しい人をやめること。

「やるべきことをやらせる」が徹底できていない。

内発的動機を誘引できていない。

当時、一般社員さんと同じ視座で、部下の不平不満を聞いては経営陣にそのまま届ける、労働組合委員長の様にしか動けていなかったマネージャーたちも、視座の高まりとともに見える景色が変わってくるようです。

マネージャー育成に課題を感じるている企業様へメッセージ

長澤 功雄(代表取締役社長)

企業において、マネージャーに限らず、教育(育成)は一時的なものではありません。

理念型経営をおこなっている弊社では、理念をベースとしたワンネス状態(一体感)を創っていきたいと考えていたわけですが、そのためには、価値観に基づいて対話を重ねることが重要だと改めて実感します。

セミナーには経営陣も参加して、共に学んだわけですが、率先垂範の姿勢を見せることには大きな意味があったと感じます。こと教育において、山本五十六さんの格言に多くのことが集約されていると実感しました。

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。

妹尾 利津子(常務取締役)

企業毎に性格が違い、成長フェーズも様々です。
当然、一概に正解はありませんが、忘れていはいかないことは、「マネージャーも、一般社員さんも、役員も、人間」なんだということ。

誰だって安心したいし、前を向きたい。
自分をわかってもらいたいし、認められたい。 つまり、大事にされたいのです。
そして、一番大事にしないといけないのは自分自身。
どんなに周りに大事にされても、自分自身が自分を大事にできていなかったら、一生満たされることはありません。
ところが、日本人の特性上!?、ほとんどの人が自分自身に興味を持てずにいます(=自分を大切にできずにいる)。
「自分に興味を持つということが一体どういうことか?」 これを説明できる経営者が一体何人いるでしょう。
『ワンネス経営』は、仕事というシチュエーションで自分自身に興味を持つこと、相手にも興味を持つことを学んでトレーニングする機会だったと感じます。
組織がもっとよくなる仕掛けや仕組みを自社で持つのは大変ですが、外部の力を借りるのもすごく有効だと実感しました。

市川 厚(代表取締役会長)

経営者は遮二無二に走り続ける生き物で、気合と根性、試行錯誤と創意工夫でもって、「初めて」に挑戦し続けてきました。 「初めて」が得意な分、それを誰にでも再現できるよう、体系的な教育にまとめることは苦手なのかもしれません。 かく言う自分のことを振り返っても、26歳で起業した時点では、経営者としての勉強なんて受けたことはありませんでしたから。無免許状態でしたね。

そう考えると、マネージャーを無免許状態にしている元凶は経営者ですね。 それでいて、「成果を出せ!」と言うのですから、たちが悪いです。 マネージャーの存在が組織でどれほど重要か?を理解しながら、実は無理ゲーを強いていたなんてね(苦笑)

これに気付けた弊社はラッキーでした。 『ワンネス経営』がベストかどうかわかりませんが、価値観を共有して同じ方向を見て進む理念経営を行っている弊社と、『ワンネス経営』との相性が良かったのは事実でした。

いかがでしたでしょうか?
今回、企業の成長に欠かせない中間管理職の育成・教育について、弊社が取り組んでいることを紹介させていただきました。
前述のメッセージで妹尾が述べているように、企業の性格や成長フェーズによっても、中間管理職の育成・教育方法は異なるでしょうし、市川が述べているように、『ワンネス経営』は弊社の考えや社風にマッチした方法だったということです。
「こういう方法もあるのだ」程度に捉えていただけたら幸いです。