採用をプロに頼んだのに、紹介される人がどうもしっくりこない。報告書には応募数や面接数が並ぶけれど、このまま進めてよいのか分からない。そんなとき、確かめたいのは手法だけではありません。
何のために採用するのか。誰に来てほしくて、誰には合わないのか。その判断の軸を、自社とパートナーで共有できているでしょうか。
一方で、プロに頼んだ会社へ「どうしたいですか」と聞くだけでは、支援になりません。そこを整理し、判断できるようにしてほしいからこそ、専門家に頼んでいる場合もあります。
会社も、プロも、相手に丸投げしない。RPOや採用エージェントの力を成果につなげるには、両方の姿勢が必要だと考えています。
人と出会う専門性と、自社が何を求めるかは別のもの
RPO(採用代行)は、応募者対応や日程調整など、採用業務の一部または全体を支援します。採用エージェントは、人材紹介を通じて候補者との出会いや選考を支援します。会社や契約によって支援範囲は異なり、採用戦略から相談できる場合もあります。
市場を知り、候補者に届く方法を選び、応募や紹介、面接につなげる。他社の事例や経験をもとに、出会える可能性を高める。その専門性は、自社だけでは持ちにくい力です。
ただ、他社でうまくいった方法が、そのまま御社の採用の答えになるわけではありません。誰に出会いたいのか、その人と何を実現したいのかが曖昧なままでは、件数が増えても、よい成果なのかを判断できません。
自社が言葉にしておきたい、採用の中身
パートナーへ渡す情報は、職種、年齢層、経験、人数だけでは足りません。少なくとも、次のことは会社として考えておきたいところです。
- 何のための採用か。この人を迎えることで、どんな仕事や事業を前へ進めたいのか。
- 誰に来てほしくて、誰には合わないか。求める行動や姿勢と、自社では応えられない期待は何か。
- 自社にはどんな魅力があるか。ここで働く意味を、仕事や経験の具体で説明できるか。
- 何を大切にしている会社か。判断に迷ったとき、何を優先し、何をしないのか。
- 3年後・5年後・10年後、どうなってほしいか。会社が目指す姿のなかで、その人にどんな役割を担い、どんな力を育ててほしいのか。
- 自分たちの「らしさ」はどこにあるか。ほかの会社にも当てはまる言葉ではなく、日々の仕事や人との関わりに、何が表れているか。
将来の姿は、確定した進路を押しつけるためのものではありません。今の時点で会社が期待することを示し、候補者自身の希望とも話し合うための材料です。
こうした定性的な中身は、求人媒体や紹介先を変えるだけでは決まりません。外部の力を借りて整理することはできても、会社が考えずに済むわけではないのです。
数字を動かす提案を求めるために、判断の軸を持つ
外部パートナーには、応募や紹介、面接につなげるための手法と、その改善を期待します。会社は、どんな出会いを求め、何をよいと判断するのかを整理する。この役割の違いを、最初に共有しておきたいと考えています。
もちろん、数字は先方だけで作れるものではありません。自社の募集条件や魅力の伝わり方、選考の速さも関わります。だから、結果が出ないときに「もっと集めてください」で終わらせず、どこを変えればよいかを一緒に検討します。
採用エージェントには、紹介された人のどんな行動や経験が、期待する役割と合ったのか、違ったのかを返す。「なんとなく違う」だけでは、次の紹介に使える材料がありません。
RPOとは、応募から面接までのどこで止まっているかを確認する。自社の返答待ちが原因なら、自社も変える。任せた業務の品質に問題があれば、改善を求める。件数と、その中身の両方を見ることが必要です。
「どうしたいですか」で、止まらないでほしい
ここは、支援する側である私たち自身にも向けた話です。
お客様に「これでいいですか」「どうしたいですか」「どう思いますか」と確認することは必要です。けれど、その問いだけで判断を返してしまうと、お客様がプロへ頼んだ理由を置き去りにします。
自分たちだけでは整理できない。選択肢が分からない。どこから手をつけるべきか判断できない。だからこそ、相談している場合があるからです。
私たちは、状況を聞いたうえで、「いまの課題はここではないか」「選択肢はこれとこれで、それぞれにこういう利点と難しさがある」「この目的なら、こちらを勧めたい」と、仮説と提案まで出す側でありたいと考えています。
たとえば応募が少ないとき、「条件を変えますか」と聞くだけでなく、必須条件を見直す案、伝え方を変える案、募集方法を変える案を比較する。何を根拠に勧め、何はまだ確かめる必要があるのかも示す。お客様が判断できる材料をそろえるところまでが、専門性だと思うのです。
会社は考えることを丸投げしない。プロは、考えるための材料と提案を出す責任を手放さない。その関係でこそ、一緒に採用を進められます。
「らしさ」が言葉になっていないところから、一緒に考える
ライオンハートも、自社の採用で失敗を重ね、採らない基準、選考の流れ、入社後の迎え方を整理してきました。「いい人そう」「前職がすごそう」という印象と、自社で担ってほしい役割が合うかどうかは、別の判断でした。
だから私たちは、人や組織の相談を受けるとき、会社が目指す姿と現在地から考えます。何のために人を迎えるのか。どんな人と働きたいのか。その人に伝えられる魅力や、自社らしさは何か。言葉になっていない部分を、一緒に整理するところから関わります。
そして、その判断の軸を求人票や説明資料、選考の基準へ落とし込み、RPOや採用エージェントの専門性につなげる。集める方法だけでなく、誰と何を実現したいのかが伝わって初めて、外部パートナーへ求める提案も具体的になります。
採用人数を満たすだけでなく、必要な役割を担う人を迎えるために。自社の採用の軸がまだまとまっていないなら、そこからご相談ください。
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