世界初のレーザードーピング技術を、”伝わる形”にする。
母材・設計・コーティング。切削工具業界は約30年間、この3つの切り口だけで技術を競い、数千社の中小メーカーと大手上場企業がしのぎを削る激しい価格競争を続けてきました。その常識の外側から現れたのが、株式会社シー・ケィ・ケー様が独自開発した世界初の技術「レーザードーピング」です。日刊工業新聞などへの掲載で問い合わせが殺到する大反響を呼びながら、オーダーメイド中心だった同社には、お客様に渡せる汎用カタログが1枚も存在しませんでした。ライオンハートがお受けしたのは、同社が立ち上げた新ブランド「LDera」をどう見せ、展示会でどうアピールし、そのために何を作るかという領域。技術の中身から製品仕様、価格帯、現場にもたらす効果までを徹底的にヒアリングしたうえで、展示会ブースの全体装飾からグラフィック、ムービー、パンフレットまでをトータルで制作しました。約6ヶ月のプロジェクトは、展示会の通路が埋まるほどの反響を呼び、現在もシリーズ第2弾・第3弾へと伴走が続いています。
事例概要
お客様名
株式会社シー・ケィ・ケー様
プロジェクト内容
・LHメソッドによるヒアリング・課題整理(技術内容/製品仕様/価格帯/もたらす効果の把握と、ブランド表現方針の策定)
・「LDera」ブランドイメージの構築、ブランドグラフィック/ブランドコピー開発
・汎用パンフレット制作
・製品紹介ムービー/ブランド・会社紹介ムービー
・展示会ブース装飾一式(展示台、什器、壁面パネル、A1パネル4種、テーブルクロス、3Dホログラム)
・シリーズ第2弾・第3弾のチラシ/パンフレット制作(継続中)
用途
世界初の技術「レーザードーピング」と新ブランド「LDera」の認知拡大 ・展示会を起点とした商談創出(名刺獲得・後日訪問の確約) ・商社の営業担当者が「売りやすい」状態をつくる汎用ツールの整備 ・通常品の1.5倍という価格にふさわしいブランドの品格の確立
シチュエーション
販促:新聞掲載で問い合わせが殺到したものの、渡せる汎用カタログが1枚も存在しない。
営業:オーダーメイドとOEM中心のため、個別説明に頼らざるを得ず商談化に足踏みが発生。
事業:切削工具の枠を超え、「あらゆる金属の耐久性を向上させる企業」へビジネスモデルを転換したい。
制作期間
約6ヶ月(以降、シリーズ展開に伴い継続中)
事例の流れ
STEP
01 課題
お客様の課題
世界初の技術はある。それを伝える武器が、1枚もなかった。
① 30年間、3つの切り口だけで戦い続けた業界
切削工具業界は、数千社とも推計される中小メーカーと、大手上場企業5〜6社がひしめく、競争の激しい市場です。そのなかで株式会社シー・ケィ・ケー様は、スイス製をはじめとする1億円クラスの超高級研削盤を連結で80台近く保有し、上場企業に次ぐ突出した設備規模と生産能力を誇ってきました。ライバルメーカーからのOEMやオーダーメイドの領域では、すでに高い評価を得ていた企業です。
しかし市場全体を見渡せば、約30年間、技術の進化は「母材・設計・コーティング」という3つの切り口の中で重ねられてきました。各社の性能が横並びに近づくほど、差を示せるのは価格になっていく。その構造が、業界全体を長く縛っていたのです。
② 問い合わせが殺到しても、渡せるカタログが1枚もなかった
自動車部品などの大量生産を行う製造現場にとって、工具が摩耗するたびに機械を止めるダウンタイム(停止時間)の損失は非常に大きく、現場は常に寿命の長い工具を求めています。そこに登場したのが、同社が独自開発した「レーザードーピング(LD)」技術でした。
日刊工業新聞などのメディアに掲載されると、業界内から問い合わせが殺到する大反響を呼びます。ところが、それまでオーダーメイドを中心としてきた同社には、お客様に渡すための汎用的な製品カタログが1枚も存在していませんでした。問い合わせを受けても渡せるものがなく、一件ずつ対面で個別に説明するしかない。世界初の圧倒的な技術がありながら、伝える武器がない。せっかくの大きな引き合いをスムーズに商談へ繋げられないという、深刻な機会損失と足踏み状態が生まれていました。
02 LHメソッド戦略策定
現在地や課題を整理し、ビジョンの実現にコミット
事業の戦略はお客様が描いていた。私たちの役目は、それを"伝わる形"にすること。
シー・ケィ・ケー様が見据えていたのは、長寿命な切削工具を売ることそのものではありません。まずは切削工具の領域で新しい価値基準を確立し、そのうえで工具の枠を飛び越え、まったく異なる業界や業種から「金属の耐久性を上げてほしい」という仕事を呼び込む——あらゆる金属の耐久性を向上させる、付加価値提供モデルへのシフトです。
レーザードーピングを「第4の切り口」として打ち出すこと。第1弾を「ロールタップの下穴用ドリル」8サイズに絞って着実に立ち上げ、第2弾・第3弾の汎用性の高い主力商材へと広げていくこと。この事業の道筋は、すべて同社自身が描いたものでした。
だからこそライオンハートの役割は明確でした。**新ブランド「LDera」のイメージをどう構築するか。展示会でどうアピールするか。そのために何を作るか。**この3点に、持てるものをすべて注ぎ込むことです。
① まず、技術と製品を「わかる」まで聞く
表現を考える前に、徹底したのはヒアリングでした。レーザードーピングとはどういう技術なのか。販売する製品は何で、どんな仕様なのか。価格帯はいくらで、現場にどんな効果をもたらすのか。ひとつずつお客様に確認を重ね、技術の輪郭を自分たちの言葉で説明できる状態にしてから、ようやくアウトプットの設計に入りました。
目に見えない技術を扱うプロジェクトです。作り手が理解しきれていないものが、受け手に伝わることは絶対にありません。
② 「寿命が延びる」ではなく「年間で利益が生まれる」と語る
ヒアリングを重ねるなかで、表現の中心に据えるべき価値がはっきりしました。「従来比で寿命が数%向上」といった一般的な訴求では、多忙な製造現場は工具を切り替えるためのテスト工数に見合わないと判断します。判断を動かすのは、技術の高度さではなく、そこから生まれる金額です。
そこでライオンハートは、安全マージンを考慮してもなお**「寿命2倍以上(200%)」**という圧倒的な数値を前面に立て、それを「機械の停止時間が減り、年間で数万円から数十万円の利益をひねり出せる」というコスト(利益)の言葉へ換算して見せる訴求へ組み立てました。
この語り口が効くのは、現場に対してだけではありません。お客様と現場のあいだに立つ商社の営業担当者にとっても、金額で語れる商材は、提案の切り口としてそのまま使えます。売り手側にとっても扱いやすい設計にしたことが、伝わる速度を大きく変えることになります。
③ 「工具のカタログであって、工具のカタログじゃないもの」を目指す
30年間、製品スペックを整然と並べたカタログが当たり前だった業界です。同じ見せ方をした瞬間、「第4の切り口」という非連続性は伝わりません。
そこで掲げたのが、「工具のカタログであって、工具のカタログじゃないもの」という表現の指針でした。工具の背景にレーザーが照射されている超現実的で鮮烈なビジュアルと、「驚きの超寿命を実現」というブランドコピー。手に取った瞬間に「何かすごい新しいものが登場した」と直感させる品格をつくることが、世界初の技術の価値を正しく届ける鍵になると考えました。
通常品の1.5倍という価格で展開する高級ツールにふさわしい世界観と、技術を利益の言葉で伝える切り口。その両方に深くご共感いただき、ブランドイメージの構築と展示会プロモーション全般を、信頼してお任せいただくことができました。
03 LHソリューション実装支援
LHソリューションで課題を解決
目に見えない技術を、手ざわりと体感に変えていく。
ライオンハートは方針に基づき、製品紹介ムービー、ブランド・会社紹介ムービー、汎用パンフレット、展示会ブース装飾一式(展示台、什器、壁面パネル、A1パネル4種、テーブルクロス)、そして来場者の目を引きつける3Dホログラムまでをトータルで制作しました。
① 表面は世界観、裏面は現場の実務——パンフレットの二面性
表面ではブランドとしてのスタイリッシュな世界観を見せ、裏面には現場に不可欠な複雑な推奨切削条件表などを、美しく見やすい形に整理して収めました。
手に取った瞬間の高級感を左右する用紙の紙質も厳選。先進的なブランドイメージと、現場が本当に必要とする泥臭い実務情報。相反しがちなふたつを、一冊の中で高い次元で両立させています。
② 「体感」をつくる展示会ブース
レーザードーピングは、目で見て分かる技術ではありません。その凄まじい価値をどう表現し、どうすれば体感してもらえるのか。そして、展示会場を通りかかる人の目をどう引きつけるのか。3Dホログラムをはじめとするブース設計は、この一点への執着から組み立てられました。
もうひとつ譲らなかったのが、ブースの”作り”そのものです。一度きりで壊してしまうチープなものではなく、クライアントが今後の展示会でも長く使い続けられる、作り込まれた本格的な質感を絶対に通したい——単発のイベント装飾ではなく、ブランドの資産としてのブースを目指しました。
なかでも時間をかけたのが、展示台や什器に使う素材の選定です。ブランドの品格は、置かれたものの質感がそのまま語る。展示台に使用する「石」も、幾度も候補を並べ直しながら選び抜きました。
04 LHソリューション実行支援
ビジョン達成にコミットし続ける
通路が埋まった展示会。そして、シナリオ通りに繋がったシリーズ展開。
展示会本番。展示品の周りには人が次々と集まり、ブース前の通路が埋まってしまうほどの圧倒的な反響を呼びました。獲得できたのは大量の名刺だけではありません。後日訪問の確約まで、多数積み上がりました。
そして、あの展示台です。展示会当日、来場者から「製品の問い合わせと同じくらい、この展示台の石はどこで買ったのかと聞かれた」——クライアントからそう伺ったとき、思わずガッツポーズが出ました。細部へのこだわりは、確かに伝わっていたのです。
「渡せる武器がない」という当初の課題は完全に解消され、パンフレットは商社の営業担当者にとっても売りやすい強力なツールとして機能しています。現在は第2弾(裏メントリ)、第3弾(ボールエンドミル)といった主力・汎用製品の展開に合わせ、チラシやパンフレットの制作を継続して伴走支援中。スモールスタートだった第1弾から、汎用性の高い商材で勝負する第2弾・第3弾へ。同社が描いたシリーズ化のシナリオが、狙い通りに繋がっています。
ライオンハートは「作って終わり」のクリエイティブ会社ではありません。単に工具を売るメーカーから、「あらゆる金属の耐久性を向上させる企業」へ。その最終的なビジョンの実現に向けて、新製品が生まれるたびに一貫したブランドの世界観を発信し続けるパートナーとして、これからも長く、深く伴走してまいります。